王者セブンを苦しめる病
「コンビニの勝ち筋」が生んだ歪み
それをこれ以上ないほどわかりやすく証明しているのが、2019年12月10日、残業代未払いにおける謝罪会見だ。永松文彦社長(当時)と並んで登壇した当時のフランチャイズ会計本部長はこう言ってうなだれた。
「法令に関する理解が不足していた。それだけでなく、社内でミスに気づけるチェック体制が整備されていなかった」
もしセブンがこのような教訓を本気で再発防止に生かそうとしていたら「ミスに気づける社内チェック体制」を整備していただだろう。そして、未払い問題を踏まえ、法令に照らし合わせて加盟店に対して払うカネ、徴収するカネを厳しくチェックしていたはずだ。
しかし、残念ながら現実はそうなっていない。
アイスコーヒー用のプラスチックカップのリサイクル費用を1カップを12カップ(1ロット)として徴収するミスは誰にも気づかされることなく、2024年度まで6年間続く。2019年に発覚した残業代未払い問題から何も学んでいなかったのではないかと疑ってしまうような結果である。
不祥事企業の再発防止体制構築のサポートをした経験から言わせていただくと、このような不祥事を繰り返す組織というのは経営陣が「社会に叩かれたので謝ったけれど、心の底では本気で悪いと思っていない」と開き直っているか、組織の人間が自分の仕事や数値目標で手一杯で機能せず、リスクが発覚しても対処できずに結局、放置か見て見ぬふりをするしかない「ガバナンス不全」のどちらかだ。
あくまで個人的な見解だが、セブンは「後者」ではないかと思っている。実は本連載で2019年に大きな社会問題になった「24時間営業問題」の際に、セブンの「ガバナンス不全」を繰り返し指摘してきた。興味のある方はお読みいただきたい。
大阪府にあるセブンのフランチャイズ(FC)店のオーナーが、人手不足などの理由から本部に無断で時短営業に踏み切ったことに端を発し、国を巻き込んだ議論にまで発展した「24時間営業問題」。この根っこを辿っていくと、セブンが創業から続ける「ドミナント戦略」に突き当たる。
商圏内に店を集中出店させることで、配送効率をあげて商圏内の消費者のロイヤリティを一気に高めるという戦略で、先日亡くなった鈴木敏文氏に「セブン-イレブンの競争力は突き詰めるとドミナント戦略に行き着く」と言わしめた経営の大方針であり、現経営陣も引き継いでいる。
この戦略が高度経済成長の日本で正解だったことは、セブンがコンビニ業界の王者となったことが証明している。しかし、5年間で大阪市の人口に匹敵する309万6575人が減少している今の日本では「逆効果」だと、筆者は企業危機管理の視点で提言してきた。
ニデックの不正会計の原因とされるハイプレッシャー経営がわかりやすいが、経営陣が現場に対して、現実を無視した「数字合わせ」を強いると粉飾や改ざんなどのモラルハザードや、「面倒なことに巻き込まれたくない」という閉鎖的なセクショナリズムを引き起こす。つまりは、ガバナンス不全が起きる。







