これに対してJR東日本は、東北新幹線盛岡~新青森の最高速度を時速260キロから時速320キロに向上させるための防音設備の追加設置工事を既に進めており、宇都宮~盛岡間の最高速度を時速360キロに向上させ、所要時間を約10分短縮させる構想もある。
また、JR北海道は2019年5月、国交省に対して新函館北斗~札幌間の最高速度を、計画時の時速260キロから時速320キロに向上したいと要請。国交省、JR東日本、JR北海道、鉄道総研、鉄道・運輸機構からなる高速化検討会を設置し、必要な設計検討・シミュレーションを実施の上、設計に反映させている。
時短効果は盛岡~新青森間で約5分、新函館北斗~札幌間で約5分だ。宇都宮~盛岡間の高速化は構想段階であり詳細は明かされていないが、10~15分は期待できるだろうから、20~25分の時短が可能になる。
前述の東京~札幌間5時間3分を基準にすると、通常時は4時間38~43分、共用全区間で時速260キロ走行が可能な列車はそこから15分程度短縮できるので、最短4時間20分台が可能になる。明かり区間の常時時速160キロ化などで数分短縮できれば、通常時も「4時間30分台」を打ち出せそうだ
もっとも、航空機に真っ向からシェア争いを挑む必要はなく、相互に分担・補完する選択肢のひとつになれれば十分だ。日本最大の航空便である羽田~新千歳間は1日平均2万5000人以上の旅客がおり、シェア3割を取ると約8000人だ。
現状、新函館北斗発着「はやぶさ」は10往復で、輸送力に換算すると1万4600人(1編成定員730人×20本)だ。1日あたりの利用者数は5000人程度なので、8000人を加えるとちょうど座席が埋まるように思えるが、実は東海道新幹線ですら平均乗車率は70%弱。輸送力をかなり増強しなければピークに対応できない。早い段階で予約しないと乗れないようなら、新幹線の強みは消えてしまう。
JR東日本・JR北海道の経営の面から見れば、東京から札幌まで乗り通す旅客の存在は非常に大きい。経営再建中のJR北海道はもちろん、東北地方の人口減少で総需要が縮小するJR東日本の下支えにもなる。多すぎず、少なすぎず、需要のコントロールにはしばらく苦労するだろう。
対航空機の文脈では、常時時速260キロ運転を行うために青函トンネルから貨物列車を締め出すべきだという議論もあった。確かに、想定所要時間約5時間では太刀打ちできないという危機感があったのは理解できる。しかし、さらなる高速化によるリターンと、物流の動脈を断つという莫大なコストは釣り合わないように思える。
もっとも肝心の札幌開業は早くても2038年という話も出ており、このような議論も前提から覆ってしまう可能性すらあるのが難しいところだ。







