特に分岐器(ポイント)の構造が複雑になるため、上述の除雪車が使用できず、レール面下30ミリまでしか除雪できない。レール面の近くまで積雪していると、走行によって生じる風で雪が舞い上がり、車両床下や台車に雪が付着しやすくなる。
気温上昇で氷混じりの塊となった着雪が走行中に落下すると、バラスト(線路内の砂利)を飛散させ、窓ガラスの破損などを引き起こしたりする可能性がある。走行速度が上がるほど雪が舞い上がり、着雪量が増えるので、速度のコントロールが必要になるのだ。
そのため、国交省ワーキンググループは当初から、全区間の速度向上は「明かり区間では、降雪や凍結による気象の影響等を受け、安全・安定輸送を損ねる恐れがある」として、「まずは気象の影響を受けにくく、三線分岐器のない青函トンネル内から高速化を始める」ことで速度向上の早期実現を目指すとしていた。
明かり区間の高速化で
期待できる時短効果は
ただし、今回の走行試験は6月から11月まで、冬季を含まない期間で行う。鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局に聞くと、試験項目は輪重横圧(車輪とレール間に作用する力)の測定、電車線離線率(パンタグラフと架線が離れる割合)の測定、青函トンネル突入時の圧力変動測定(これまではトンネルに入ってから加速していた)の3点だ。
高速走行試験としては初歩的な内容だが、これまで最高速度時速140キロ運転をしていた区間だけに、まずは第一歩というところから。時速160キロから試験を開始し、段階的に時速260キロまで速度を上げて設備の状態を確認する。
明かり区間の時速260キロ運転は、2028年度の実施を目指している。鉄道・運輸機構は、実際の速度向上には冬季の試験も必要になるとしつつ、具体的なスケジュールはまだ決まっていないと話す。
では、明かり区間の速度向上でどれくらいの時間短縮が見込めるのか。実際の運転計画は未定だが、ワーキンググループの試算によると、明かり区間28キロを時速260キロ化した場合、約9分の短縮が見込めるという。
これはなかなかの数字である。札幌延伸にあたり航空機に対する競争力を確保するのであれば、理想は東京~札幌間4時間、現実的には4時間30分を実現したい。現状、東京~新函館北斗間は最速列車(通常時)が3時間57分、新函館北斗~札幌間が1時間5分程度を見込んでいるため計5時間3分、つまり、最低でも33分の時短が必要だ。







