また、地震発生時の安全確保も課題だ。貨車は非常にデリケートで、コンテナ内の積載物が偏っていたり、積載量によって貨車の走行特性が変わったり、ちょっとしたバランスの乱れで脱線してしまう。地震発生時に貨物が荷崩れ・散乱する可能性を完全に否定できない。
そのため、2016年3月の北海道新幹線開通当初、共用区間は在来線特急「白鳥」時代と同じ時速140キロ運転に制限したが、札幌延伸時に航空機との競争力を高めるためには速度向上、所要時間短縮が避けられず、順次、速度を向上させていくことになった。
明かり区間の着手が
後回しになった理由
国土交通省の方針は「2018年度末を目標に青函トンネル内の最高速度を時速160キロに引き上げ、遅くとも2020年度までにゴールデンウィークやお盆、年末年始など貨物列車の本数が少ない時期に、時間帯を限定し下り線のみを時速200キロとする」というものだった。
開業直後の2017年からトンネル内すれ違い時の風圧測定や地震発生時のシミュレーションを実施し、計画通り2019年3月から最高速度を時速160キロに引き上げ、所要時間を3分短縮した。限定的な高速化は計画より遅れ、2022年12月から時速210キロ化で3分短縮、2026年4月から時速260キロ化でさらに3分短縮した。
この結果、東京~新函館北斗間の所要時間は、開業時の最速4時間2分から同3時間51分へ11分短縮された。だが、現在も通常時は時速160キロで運転しているように、貨物列車と共存する時間帯は安全性を確保できないため、それ以上の速度向上は実現していない。
青函トンネル区間における空気との勝負は「棚上げ」された格好だが、明かり区間の着手が後回しになったのはなぜだったのか。それは地上ならではの課題、降雪・凍結との戦いがあるからだ。
上越新幹線、北陸新幹線など豪雪地帯を走行する新幹線は既に存在する。これらの路線では専用の除雪車がレール下面から100ミリまでの除雪を行い、車両床下への着雪を予防している。しかし、共用区間は新幹線が1435ミリ、在来線が1067ミリの異なる軌間の車両が走行できるよう、3本のレールが設置されている。
JR北海道資料より抜粋 拡大画像表示







