他の高齢者認知研究では、60代前半を対象にした実験で「絵を使った物語はテキストだけより理解しやすい」という結果も報告されています。ただし、年齢が上がるとこの効果は薄れ、80代では情報をシンプルにする方が効果的なようです。つまり、60代前半は「視覚+直感」設計が強い武器になりますが、80代では詰め込みすぎないことがポイントです。
実際に、視覚+テキストの組み合わせを使った広告クリエイティブの事例があります。60代向けに配信したテレビCMをベースにした動画で、ABテストを実施しました(図3-11)。
同書より転載 拡大画像表示
上:動画の最初から最後までL字枠を表示し、その中に常にキーメッセージをテキストで表示
下:動画の冒頭にキーメッセージをテキスト表示
リーチ効率はほぼ変わらないにもかかわらず、上の方がCTRが約2倍高いという差が出ました。つまり、視覚+言語を組み合わせることで、理解しやすさと行動喚起が強化されるということです。
動画広告では重要な文字情報を
いつ表示するべきか?
『THE FRONTLINE GENERATION令和シニア なぜいまZ世代マーケターは60代に「未来」を見るのか?』(株式会社博報堂ストラテジックプラニング局、株式会社Hakuhodo DY ONE、宣伝会議)
最近では、広告動画をクリックして情報を深掘りする行動はデジタルメディア上で一般化しています。ただ、視聴者が「動画を見続けるか」「クリックして遷移先で詳しい情報を取得するか」を決めるタイミングは人それぞれ。
X(旧Twitter)のような、広告文でテキストを付け加えられるメディアであればこうした工夫は不要かもしれませんが、見る専メディアにおいては、冒頭だけにメイン訴求を表示する動画だと、そのタイミングを逃してしまう可能性があります。
この傾向は若年層では以前から見られていましたが、シニア層でも同じように有効だとわかります。逆に、動画の最後に重要なメッセージがあり、完全視聴が優先される場合は、あえてこうした方策は取らないという選択もあり得ます。
また、視認性は「見える」ための必要条件ですが、それだけではもちろん不十分です。理解を促すには、情報の構造化や噛み砕き、さらに感情やストーリー性による「自分ごと化」が不可欠です。







