当たり前に思えるかもしれませんが、「信頼できる根拠」の提示は、デジタルメディアでの購買行動の最初の一歩=クリックを大きく後押しします。検索して裏付けを取る習慣があるシニアですが、広告内で「安心できる証拠」が示されていれば、わざわざ調べる必要がなくなるため、まずクリックしてみようという心理が働きやすくなるのです。

 こうした「当たり前」の設計も、シニアマーケティングでは差を生むポイントです。まだデジタルに不慣れなシニアにとって、余計な手間を減らすことは、UI/UX(編集部注/Webサイトやアプリの使いやすさと、ユーザー体験の良さ)の本質だからです。

視覚の衰えまで計算に入れた
広告デザインが求められる

 令和シニア(編集部注/筆者は、70代以降のシニア世代と現役世代とに挟まれながら新しい生き方をしている60代を、令和シニアと定義している)は、デジタルメディアを積極的に活用する一方で、情報過多の中で「自分に必要な情報」を見極めることに強い負荷を感じています。

 検索をはじめとしたデジタルメディアの活用習慣はあるものの、「情報が多すぎてわからない」「どれが正しいのか判断できない」という声は少なくありません。

 この要因のひとつに、加齢に伴う視覚や認知機能の変化(図3-9)があります。

図3-9 加齢に伴う色覚変化のイメージ同書より転載 拡大画像表示

 人は情報の約8割を視覚から得ているとされています。その視覚機能は40代から変化が始まり、老眼(老視)は40歳前後で自覚し、45歳ごろには老眼鏡が必要になる人が多いとのことです。

 さらに、加齢でコントラスト感度が下がり、背景と文字の明度差が小さいと読みにくくなります。これは水晶体の黄変や白濁による光の透過率低下が原因で、特に青系の光が吸収されやすくなるためとのことです。