客観的に見ると、今の仕事で十分に世の中のためになっていても、働いている本人には、その実感がない。

 一方的な指示で、何のために行うのかもわからず、ただ作業のように仕事をする。そのような状況で仕事をしているとしたら、仕事にやりがいを感じられるでしょうか。その仕事にさらに工夫をしようと思うでしょうか。

「仕事のとらえ方」によってやりがいが変わる有名なたとえ話に、「3人のレンガ職人」の話があります。

「何をしていますか?」と問われたレンガ職人の1人は「見ての通り、レンガを積んでいます。キツくて大変な仕事です」と不平をこぼします。

 もう1人は「大きな壁をつくっています。これで家族を養えるのでありがたいことです」と答えます。

 最後の1人は「歴史に残る大聖堂をつくっています。多くの人のためになる素晴らしい仕事だと誇りに思っています」と目を輝かせたというものです。

「レンガを積む」という同じ行為も、その意味や意義、目的を理解するとまったく異なるものになるというたとえ話です。

リーダーの役割は
仕事の意義を示すこと

 リーダーがすべきは、メンバーに仕事の背景や意味・意義、めざすべき方向などをしっかり伝え、共有することです。そして、その仕事は誰の役に立っているのか、その社会的意味や意義までも伝えます。

 間接部門の人たちに対しても、社内を支援することで、最終的に世の中のためになっていることを、認識してもらうことが大事なのです。

 人は仕事の本質を理解し、意義を見出すと、やりがいを感じ、指示がなくても創意工夫をはじめます。

 パーパス経営の必要性も問われる中、企業理念やミッションやビジョンを大事にしている会社も多くあります。とても大切なものだからこそ、その意味を日頃の仕事に結びつけて伝えていかなければなりません。

 先の「3人のレンガ職人」の3人目、「歴史に残る大聖堂をつくっている」と理解した職人は、やがてそこで「多くの人が祝福を得て、悲しみを払う」ということまで理解しています。それによって仕事のやりがいを発見し、責任感も高まるのです。

 メンバーが仕事の意味や意義まで実感できると、自ら動き出します。