新卒新入社員向けの「オン・ボーディング」の内容を設計する際に、知っておいてほしいのは、「人は、見たいものしか見ない」ということです。どんな人でも、自分が意識していることしか見えません。

 いい会社だと思えば、すべてが良く見えます。ダメな会社だと思うと、会社の中のあらゆることがダメに思えてくるのです。一度ダメだと思ったら、自由にのびのびと振る舞う社員の姿でさえ、けじめのない嫌な様子に見えてしまうでしょう。

新入社員は自分の会社のことを
まだ正しく理解できていない

 このように、人には思い込みや偏った考え方に合った都合の良い情報のみが目につき、そのような情報を集める傾向があります。逆に、それ以外の情報を無意識のうちに捨ててしまうのです。心理学では、「確証バイアス」と言います。

 ここであえて、「新卒新入社員」をテーマにしたのは、社会を知らない学生を受け入れる際には、とくにこの「確証バイアス」のことを知っておく必要があるからです。

 社会人経験が浅い分、入社までや入社直後も、自分色のメガネで会社を見る傾向が強くなります。だからこそ、やがて大きなギャップが生まれ、素晴らしい会社として見えていたことが、一気にダメな会社だと180度変わってしまうこともあるのです。

『残念なリーダーにならないための マネジメント50の心理法則』書影残念なリーダーにならないための マネジメント50の心理法則』(松岡保昌、岩渕美香、日本実業出版社)

 会社説明会やインターンシップなどで、会社のことは伝えた、先輩社員にも会った、だから、当社のことは十分に理解してくれているはずだと思っているかもしれません。しかし、会社の実態を正しく把握してくれているとは限らないのです。

 新卒新入社員が、会社の中のさまざまなことをどのようにとらえているか、丁寧に聞いてみてください。自分色のメガネで、勝手に解釈していることも多いはずです。

 まったく同じ景色が、どう見えるかは、その人しだいであることを、忘れてはいけないのです。バラ色に見えていた景色が、急にまったく違って見えはじめたら、だまされたと思って会社を去っていくかもしれません。

 人のマネジメントに長けたリーダーは、会社や仕事に関するさまざまな事象が、相手にどう映っているかまで意識して接することができるのです。