コンサル大解剖Photo:PIXTA

近年、ポストコンサルの文脈で注目を集め始めているのが「事業会社発コンサル」という選択肢です。外部コンサルでも、一般的な事業会社でもないこの立ち位置は、まだ広く認知されていませんが、転職支援の現場では、明確な変化が起きています。弊社が2025年に支援したコンサル転職は100名超ですが、中でも事業会社発コンサル求人への応募意向が約9割と、他のポストコンサル職種と比べても際立って高くなりました。求人数は決して多くなく、採用要件も低くはありません。にもかかわらず人気が集まる背景には、コンサル出身者が抱きやすい不安や違和感と、このポジションの特性が構造的に噛み合っている点があります。長期連載『コンサル大解剖』内の連載「コンサルキャリアの新潮流」の本稿では、「事業会社発コンサル」とは何か、なぜ今選ばれているのか、そしてどのような人にとって合理的な選択肢となり得るのかを解説します。(リメディヘッドハンター 平岡 弦)

コンサルと事業会社のいいとこどり
「事業会社発コンサル」が人気急上昇

 転職支援の現場を俯瞰すると、近年、コンサル出身者のキャリア観に明確な変化が見られます。それは「転職したい」という明確な意思よりも、「このままでいいのか分からない」という逡巡が増えている点です。

 経営企画、事業企画、新規事業、スタートアップやファンドなど、転職先の選択肢は確かに多いです。一方で、自身がどこで、どのような価値を出し続けたいのかという軸が定まらないことから、意思決定に至らないケースも少なくありません。

 そうした中で存在感を高めているのが、事業会社が自社の変革需要を背景に、コンサル機能を内製、あるいはそれに近い形で組織化した「事業会社発コンサル」という立ち位置です。時代の変化に合わせた企業側の構造変化から必然的に生まれたため、今後求人数は増加していくと考えられます。

 本稿でいう事業会社発コンサルとは、事業会社に所属しながら、役割としてコンサルティング機能を担うポジションを指します。具体的には、以下のような特徴を持つケースが該当します。

●経営・事業レベルの課題設定に関与する
●DX、業務改革、新規事業といった変革テーマを横断的に扱う
●企画立案にとどまらず、実行・定着までを責任範囲とする
●特定部署に閉じない立ち位置を持つ

 また、下表が外部コンサル・事業会社・事業会社発コンサルの違いをまとめたものです。事業会社発コンサルは、外部コンサルと事業会社の中間に位置するのではなく、両者の強みを同時に担う立ち位置として設計されている点が特徴です。戦略設計と実行の双方に当事者として関わる点において、事業会社発コンサルは「コンサルと事業会社のいいとこどり」であると言えるでしょう。

 では、事業会社発コンサルが人気を集める理由とは。次ページで、年収や働き方の実態を基に解説していきます。また、戦略と実行に関わる事業会社発コンサルでも、社内での役割は異なってきます。メガバンクや大手商社、通信大手などの事業会社発コンサルの事例を基に、3つ類型を提示。それぞれの給料やキャリアの方向性の特徴などについて詳述します。加えて、コンサルから事業会社への転職者の声も紹介します。