車内で自殺が起きた
レンタカーの行方とは?

 実名やエリアは伏せるが、筆者が取材した某大手レンタカー店によると、過去10年ほどの間に、利用者に貸し出したクルマの中で練炭自殺が3件発生したという(それぞれ別のクルマで起きた)。

 いずれの事案も、車両の返却予定時間を過ぎても客が戻らず、連絡を試みても応答がなかった。店の責任者が警察に届けたところ、2~3日後に「車内で自殺が起きた」といった連絡があり、発覚に至った。

 中には、警察から「10km以上離れた山中にてレンタカーが乗り捨てられており、中で3人が練炭自殺した形跡があった」と、集団自殺の報告を受けたこともあるそうだ。

事故に自殺…「人の死」に関わったクルマはどこへ行く?中古車業界の“不都合な事実”写真はイメージです Photo:PIXTA

 では、車内での自殺が起きた際、レンタカー店はどのように対処したのか。

 その内容は意外なものだ。自殺で使われたレンタカーの「自動車としての機能」に問題がなかった場合は、丁寧に室内を清掃し、すぐに次の客に貸し出したというのだ。

 一方、シートなどの内装がファブリック素材であり、時間をかけて清掃しても練炭の匂いがなかなか取れなかった事案では、それ以上の清掃を断念して売却したとのことだ。

 複雑な思いを抱いた読者もいるだろうが、保安基準を満たしており、修復歴・冠水に該当する不具合もなく、機能的にも問題がなければ、告知をしなくても法的問題はない。

事故に自殺…「人の死」に関わったクルマはどこへ行く?中古車業界の“不都合な事実”一般財団法人 日本自動車査定協会(JAAI)による「冠水車の定義」 出典:JAAI
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 レンタカー業界の関係者は、人が亡くなったクルマの“売り方”について、次のように明かす。

「車内で人が亡くなったクルマだからといって、特に安く売ることはしません。ヘタに安いと『何かあるのでは?』と警戒されますから。そうした車であっても、普通に業者オークションに出しますし、普通に評価を受けて買い取られていきますよ」

「もちろん、クルマごと崖から落ちたり、車内で焼身自殺を図ったりした場合は、修復そのものが難しいので、車両として流通させるのは困難でしょうけどね」

 ちなみに、上記のコメントで言及された「業者オークション」とは、中古車販売業者や買取店などの、参加資格を持ったプロだけが参加できる中古車の競売会だ。

「レンタカー内での自殺」がテレビニュースなどで大々的に報じられ、クルマ本体やナンバープレートがカメラに写ってしまった場合は、視聴者に店舗や車種を特定されるリスクがある。

 それを避けるため、ニュース映像に映ったクルマを業者オークションで早々に売却するレンタカー業者も存在するという。