藤井聡太名人藤井聡太名人 Photo:SANKEI

部下を成長させたいと思うあまり、つい難しい仕事を任せすぎてはいないだろうか。実は、人が力を伸ばすためには「頑張ればできるかもしれない」と感じられる絶妙な難易度設定が欠かせない。幼少期の藤井聡太氏が将棋に夢中になれた背景にも、その環境があったという。部下のスキルや状況に応じて仕事の難易度や支援レベルを調整し、成長実感とモチベーションを引き出す具体的方法を、営業コンサルタントの高橋浩一氏が解説する。※本稿は、営業コンサルタントの高橋浩一『「任せて育つチーム」はどこが違うのか 科学的に正しい「勝てる営業」のつくり方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

藤井聡太氏が語った
「強くなるための秘訣」

 日本トップレベルの将棋棋士である藤井聡太氏と丹羽宇一郎氏(編集部注/伊藤忠商事元社長)の対談本『考えて、考えて、考える』(講談社)には、難易度に関する興味深いエピソードが紹介されています。

 藤井氏は、将棋を始めた当初について次のように語っています。

“祖母はルールも覚束ないぐらいの初心者だったので、すぐに勝てるようになって、それでどんどん将棋が面白くなりました。勝つ楽しさをスタート段階で味わえたのが、モチベーションにつながって良かったのかもしれません”

 また、藤井氏は「強くなるための秘訣」についてもこんなコメントをしています。

“強い相手と対戦してばかりで、勝てる可能性が低いと、一生懸命考えることがどうしても難しくなってくるかと思います。(中略)強くなるために一番理想的なのは、自分より少し強い相手、「頑張れば勝てるかもしれない」相手と戦うことでしょうか”

 つまり、藤井氏のような最高峰レベルの棋士でも、最初は自分と同程度の初心者を相手に将棋を指すことで、達成感を得ながら興味を維持できたということです。