一般市民が
「転売ヤー」の真似事を避けるべき理由

 あくまで個人的な見解だが、1990年代から時計ジャーナリスト・編集者として時計市場を取材し続けてきた筆者は、昨今の中古時計価格の高騰を懐疑的な目で見て、取引に関わらないようにしてきた。その理由は、主に下記の3点に不自然さを感じていたからだ。

・旧モデルだけでなく、現行モデルまでもが定価を上回る価格で転売されていること
・希少ではない中古時計までもが新品以上の価格で取引されていること
・市場価格が時計の実体価値に見合っていないこと

 二次流通市場において、希少なアイテムや人気のアイテムに高値が付くのは、資本主義の市場原理から当然のことだ。だが、特に希少ではない時計や、毎年何十万本も生産されて流通している時計に、現行品と同等以上の価格が付いていることには違和感を禁じ得ない。

 このような現象が起きる理由は、先述の通り、高級時計には「“闇の通貨”として使える」という付加価値があるからだろう。

 時計にそうした価値を見出し、悪用して利益を得ようとしている人物は、意外と私たちの近くにいるかもしれない。「高級腕時計のシェアリングサービス」を騙ってユーザーから時計を集め、無断で換金した「トケマッチ」事件の首謀者のように。

 今の市場環境では、誰もが“転売ヤー”の真似事をすれば一儲けできる。だが、一般市民はそうした行為を絶対にやってはいけない。あなたに高級時計を売った人や、あなたから高級時計を買った人が犯罪組織の手先かもしれず、マネーロンダリングを助長することになりかねないからだ。

・参考資料:警視庁のYouTube動画『闇バイト その先にある絶望』