気温の低いヨーロッパで広く受け入れられていた毛織物(ウール)は、暑くて湿度の高いインドやアフリカでは需要がありませんでした。代わって広く受け入れられたのが、綿織物です。軽くて洗いやすく、鮮やかな模様もプリントできるということで、世界中で大ヒットしました。
イギリスが「世界の工場」と呼ばれるようになった産業革命は、綿工業から起こりました。つまり、イギリスは砂糖と綿製品という二つの世界商品を握ったことで、覇権を掌握したのです。
砂糖の普及によって「甘いもの=日常」という感覚が生まれ、イギリスの労働者たちは紅茶と一緒に砂糖を摂る習慣を身に着けていきます。食習慣の変化が、労働生産性の向上につながっていたという説もあります。
かつては苦くて刺激的な
飲み物だったカカオ
ここで、砂糖の「甘さ」と結びつくことによって、商品としての性格を変えたカカオ(ココア・チョコレート)の歴史をみていきましょう。
チョコレートの原料であるカカオ豆は、もともと中南米の熱帯地域、特に現在のベネズエラやメキシコ周辺で育てられてきました。時代が進むにつれて生産地はどんどん広がり、今では西アフリカや南米、さらには東南アジアでも栽培されています。
カカオの原産地であるメソアメリカ(メキシコおよび中央アメリカ北西部)では、カカオ豆は「褐色の貨幣」とも呼ばれ、金銀と同じように価値のあるものとされていました。
マヤやアステカの社会では、カカオを飲めるのは王や貴族など限られた階層だけでした。ちなみに、当時はすり潰したカカオ豆に香辛料などを加えた、苦くて刺激的な飲み物として消費されていました。
スペインが1521年にアステカ帝国を征服すると、カカオは白人支配層の間にも広まり、やがてメキシコの一般市民にも飲まれるようになっていきます。
16世紀には中米が中心だったカカオの生産地は、17世紀にはカリブ海諸国や南米の一部へ広がり、19世紀にはブラジル、そしてアフリカへとシフトしていきます。







