むしろ、なぜ中国政府が2026年というこのタイミングで、レンタル経済を国策として推進し始めたのか、という点である。かつてIT企業が主導したシェアリングエコノミーのブームとは異なり、今回の政策には、従来の新規投資拡大だけではなく、既存資産の利用効率向上にも重心を移そうとする意図がうかがえる。
中国のレンタル経済について、もっとも一般的な説明は若者の価値観の変化である。2000年代生まれの若者は、所有よりも体験を重視する。中国には成熟した決済システム、発達した物流網、豊富なプラットフォーム企業がある。そのため、レンタル経済が拡大しやすい土壌がある。
この説明は間違っていない。環境意識の高まりもある。既存の商品を繰り返し利用することは、資源の有効活用や廃棄物削減にもつながる。政府がこれを「グリーン消費」として位置づけることにも、一応の合理性はある。
しかし、中国のレンタル経済を単なる若者文化や環境意識の変化として説明するだけでは、もっとも重要な点を見落としてしまう。なぜなら、その急拡大は、不動産不況、若年失業、消費の弱さ、将来不安といった現象と同時に起きているからである。
若年失業率は16.9%
過剰競争で努力しても報われない
中国の経済成長率目標は、2026年には4.5%から5%程度の水準にまで下がっている。国家統計局が発表した2026年3月のデータでは、在校生を除く16歳から24歳の若年失業率は16.9%に達した。さらに2026年には、過去最多規模となる1270万人の大学卒業生が労働市場に出る見通しである。
中国では「内巻」、すなわち過剰競争を意味する言葉が社会に広がり、「寝そべり」を意味する「躺平」も若者世代の重要な社会言語になった。努力しても報われにくく、働いても住宅を買えず、将来の生活設計が見えない。こうした感覚は、若年層の消費行動にも影響している。
したがって、中国のレンタル経済を理解するときには、二つの問いを分けて考える必要がある。中国の若者は本当にモノを持ちたくなくなったのか。それとも、そもそもモノを買える状況にあるのか。







