翻ってJR東日本や東急電鉄、現在の阪急阪神HDは、大規模な都市開発や金融などの多角化を進めていることから、アクティビストに狙われにくいと考えられる。

 JR東海はリニア中央新幹線という分かりやすい大型投資を実行中のため、モノ言う株主の目を避けられている可能性は高い。そもそも同社は東海道新幹線による高収益で、地方路線の低収益をカバーしている。

 とはいえ、リニアの工事が遅れており、PERやPBRがJR上場4社の中で最も低いので、今後もアクティビストに狙われないとは言い切れないが……。

なぜ鉄道会社は「モノ言う株主」に狙われる?「東京ディズニー筆頭株主」も再び標的となるかL0系改良型試験車(L0系950番台)、山梨リニア実験線にて試運転 Photo:PIXTA

 さて、ここまで書いてきたが、アクティビスト=悪の存在では決してない。むしろ世界には、アクティビストの助言や要求が当該企業の健全化や収益向上に一役買った例はたくさんある。

5路線廃止と球団売却で
西武vsサーベラス対立劇

 一方で、なぜ日本ではネガティブなイメージが付きまとうのか。分かりやすい例が、西武鉄道だろう。2006年、有価証券報告書の虚偽記載や総会屋への利益供与などの不祥事で上場廃止に追い込まれた西武に、米投資ファンドのサーベラスが支援する形で出資した。

 潮目は12年、再建して再上場を目指す西武経営陣に対して、サーベラスは企業価値を上げるために不採算路線の廃止やプロ野球団・西武ライオンズの売却などを迫った。両者は激しく対立し、サーベラスは13年に株式公開買い付け(TOB)に踏み切るも失敗。結果的に、サーベラスは経営から退いた。

 不採算路線の廃止や球団売却については、記憶している読者も多いだろう。サーベラスから西武秩父線線、山口線、国分寺線、多摩湖線、多摩川の5路線が廃止要求されたのは、地元には大きなショックだった。東京都西部や埼玉県西部の自治体にとっても寝耳に水。一方的な要求が、大きな反発を招いた。