3代目リーフ、ここまでの歩み

 3代目日産リーフについて、これまで2回にわたり詳細にお話を伺ってきた。

 EV専用のプラットフォームを採用したこと。モーターと減速機とインバーターをひとつの筐体に収めて静粛性を高めたこと。ローター内部の磁石の位相を6分割してずらし、モーターの回転を滑らかにしたこと。さらには1万分の1秒単位でトルクを制御し、ギアのバックラッシュによる歯打ちを抑えつつ、“パワフルなのに荒くない”加速感を実現していること、等々。「技術の日産」が健在であることを十分に感じられるお話だった。

 初代のデビュー以来16年間、リーフが世界中で積み上げてきた280億キロもの走行データとGoogleナビのリアルタイム情報を組み合わせ、目的地に着く時の電池残量や、どこで何分充電すれば最短で到着できるかまでクルマ側が計算する。EVを長く続けてきた“リーフならでは”の興味深いお話も伺った。継続は力なり、である。

リーフのパワートレインリーフのパワートレイン(資料提供:日産)
純正ナビにGoogleマップを組み込み、EVでも充電場所や時間に悩まずロングドライブに行けるように工夫純正ナビにGoogleマップを組み込み、EVでも充電場所や時間に悩まずロングドライブに行けるように工夫(資料提供:日産)

 ここまで主に話してくださったのは、日産オートモーティブテクノロジー 副社長執行役員の磯部博樹さん。磯部さんは今年の3月に日産から日産オートモーティブテクノロジーに移籍されている。現在リーフの開発責任者を務めているのは、磯部さんからバトンを託された、日産自動車 第二製品開発本部の樋渡伸二さんである。

 磯部さん中心に語っていただいたのは、3代目リーフを実際にここまで造り込んできたのが磯部さんだったからだ。

 では、これからのリーフはどうなるのか。どのように進化していくのか。逆風吹き荒ぶEVである。「フューチャースタンダードEV」を謳うリーフである。日産が描く“未来の普通”とは何なのか。現在の開発責任者である樋渡さんに、詳しく伺っていこう。

日産自動車 第二製品開発本部 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 次席車両開発主管 樋渡伸二さん日産自動車 第二製品開発本部 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 次席車両開発主管 樋渡伸二さん Photo by AD Takahashi

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):これまで2回は、主に磯部さんに3代目リーフの成り立ちについて伺ってきました。ではここからは、現在リーフを背負っている樋渡さんに伺います。樋渡さんは、この3代目リーフをどのように見ていますか。

日産自動車 第二製品開発本部 第二製品開発部 第一プロジェクト統括グループ 次席車両開発主管 樋渡伸二さん(以下、樋):私自身、普段からアリアに乗っていますので、日産のEVには乗り慣れています。その上で、クルマのトータルパッケージとしての造り方というところに、アリアもリーフも強みがあると思っています。我々日産は、クルマとしての「移動の質」を高めたいと考えています。