不動産市況が良くなれば
アクティビストも活発になる

 会社が保有している不動産の含み益に着目するアクティビスト活動やM&A活動は、不動産市況が良くなるたびに起こります。社宅や保養所施設を持っている優良大企業はもちろん、好立地に自社ビル本社を持っている会社も狙われます。

 同じ時期に、アデランスや日本コロムビアがファンドに買収された挙句、本社を移転し売却。その跡地は再開発されオフィスビルやタワーマンションになっています。

 総合重電機メーカーのIHIは2014年に米国投資ファンド、サード・ポイントに株を取得されましたが、ファンドの主張は「IHIが豊洲に保有している不動産は同社の時価総額の50%以上を占めており、これが有効活用されていない」というものでした。この出来事が起きたタイミングは東京オリンピック招致が決まり、豊洲の不動産価値が爆上がりしていた時期でした。

 最近、2024年にも富士ソフトというソフト開発会社をめぐってKKRとベイン・キャピタルという米国二大ファンドが争奪戦を繰り広げましたが、これも秋葉原本社をはじめとする富士ソフトの豊富な自社ビル資産に目をつけた買収合戦でした。

 フジ・メディアHDの株式を握った村上ファンドの主張も「メディア事業の本業と関係ない不動産事業(サンケイビル)は切り離せ」です。

 適正株価の評価の際にはバランスシートに載っている贅肉と筋肉を切り分けてそれぞれを評価すべきです。しかし日本企業には「贅肉も筋肉も会社は全てのステークホルダーのもの、足元の株価に一喜一憂すべきではない」という風土が根強くあります。この経営者の姿勢がファンドという「虚業」にあぶく銭を儲けさせる「隙」を提供してしまうのです。

高値の買い手を見つける
投資ファンドのスキル

 割安株を見つけ出して市場投資家に先がけて株を買い集めるだけではファンドの儲けは確定できません。買い集めた株式をまとめて高値で売り抜ける「出口(エグジット)」とセットになってはじめてファンドはサヤ取りの利益を得られます。