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2026年4月から始動する地方銀行の新中期経営計画に、これまでにない変化が起きている。金利上昇を追い風に、保守的とされてきた地銀界でROE(自己資本利益率)10%超や大幅増益といった野心的な目標を掲げる地銀が相次いでいるのだ。一方、同じ追い風を受けながら、成長への意思が全く見えない地銀もある。長期連載『金融インサイド』の本稿では、ROEと当期純利益の目標、実績、今期の業績見通しを基に、新中計の積極度を独自に診断。最も強気な地銀と消極的な地銀をランキングで明らかにするとともに、投資判断を左右する政策金利の前提も比較する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
地銀で相次ぐ野心的な新中計
16行の目標一覧と積極度を診断
「2026年開始の銀行業界の新中期経営計画は、全体的に目標水準が大きく上がった。これまでとは明らかに傾向が変わっている」
今年3月以降、相次いで公表されている銀行業界の新中計をそう総括するのは、業界を長年追ってきたSBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストだ。
銀行業界では、金利上昇を追い風に業績見通しの上方修正が相次ぐ。日本銀行の追加利上げもしばらく続く見込みで、まさにわが世の春を謳歌している。
こうした環境変化から、保守的な目標を立てがちな地方銀行の新中計でも強気の目標が目立ち始めた。中でも変化が大きいのが、ROE(自己資本利益率)目標だ。
例えば、千葉銀行とスルガ銀行は4月開始の新中計で、ROE11%の目標を掲げた。業界最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループが24年度開始の中計で掲げたROE目標が9%であることを踏まえれば、その高さが分かるだろう。
25年までは、3年後の中計最終年度のROE目標が2桁に達していた地銀は群馬銀行だけだった。ところが、4月29日時点で新中計を公表した16行のうち、10%以上のROE目標を掲げたのは5行もある。金利上昇局面で、地銀の経営目標はステージが上がったといえる。
ただし、地銀の中計は前提や目標の立て方が各行で異なり、比較が難しい。地銀株に詳しい個人投資家は「地銀の中計は目標に統一感がなく、前提とする政策金利の差も大きい。細かな前提まで確認できない個人投資家は多いが、今回の新中計では地銀間で政策金利の前提に最大2倍の開きがあるため、利上げが進まない場合の失望売りリスクを考慮してチェックしておく必要がある」と話す。
そこで次ページでは、4月29日時点で新中計を公表した地銀16行について、政策金利前提、ROE、当期純利益、OHR(経費率)、配当性向の目標を一覧で掲載する。さらに、ROEの実績や当期純利益の見通しなどを基に、新中計の積極度を100点満点で診断。「新中計が野心的な地銀ランキング」を公開し、併せて消極的な地銀も明らかにする。







