これからのAI開発は、ますますこうした「人間らしい感情のやり取り」へとシフトしていくはずです。「私たちの4oを返して!」というあの切実なムーブメントを目の当たりにした開発者たちは、もう同じ過ちは繰り返さないでしょう。

 AIは単に正しい答えを出すだけのツールではなく、「あなたの気持ち、わかっているよ」と感じさせてくれる存在へ。これからのAIと人間の関係は、デジタルな「正しさ」と、人間ならではの「不完全さ」のあいだに、心地よい新しいバランスを見出していくことになるのだと思います。

AIはもっとも身近な
「親友」になる

 いまを生きる私たちにとっても、AIはどんどん身近な存在になっています。特に若い世代にとっては、AIはもはや便利な道具ではなく、日常を分かち合う「友達」や「親友」に近い存在になりつつあります。

「新学期の選択授業、どっちにしようかな?」「好きな子へのLINE、これで変じゃないかな?」。そんな誰にでもある悩み。友達にわざわざ聞くほどでもないけれど、自分一人で抱えるには少しだけ重い。そんなとき、AIはいちばん身近で、いちばん話しやすい相手になります。

 しかも、私たちが誰かに相談するときは、実は答えが自分の中で決まっていることが多いものです。ただ誰かに「それでいいと思うよ」と言ってほしい、背中を押してほしい。

 AIは、そんな「肯定してほしい気持ち」を24時間いつでも受け止めてくれる、最高の相談相手です。相手の都合や機嫌を気にしなくていいし、説教もされません。結論がコロコロ変わっても顔色一つ変えない。いつでも隣にいてくれる、文句ひとつ言わない理解者なのです。

 ただ、なんでも話せるからこそ、気をつけなければいけないこともあります。ChatGPTを開発するOpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は「AIとは秘密保持契約を結んでいない」と警告し、個人情報の打ち明けすぎに注意を促しました。これはつまり、AIには「秘密」が通用しないことを忘れないでほしいという警告です。