なぜ、部門横断に取り組んでも、ブランドとCXは一つのものとして扱われないのでしょうか。
問題は、組織構造だけではありません。もちろん、部門の分化や階層化は現実に存在します。企業規模が大きくなれば、機能ごとに組織を分けることには合理性があります。部門ごとのP&L(損益計算書)、KPI(重要業績評価指標)、評価制度、長年の慣行もあります。
しかし、それ以上に根深いのは、その構造を当然のものとして受け入れている私たち自身の認識です。
「ブランドはマーケティングの仕事」
「CXはオペレーションの仕事」
「売り上げは営業の仕事」
こうした認識は、組織図の中だけでなく、私たちの頭の中にもあります。構造が認識を強化し、認識が構造を再生産する。だから体制を変えるだけでは、ブランドとCXはまた別々の仕事に戻ってしまいます。
それぞれの部門は、決して不誠実なわけではありません。むしろ、自分たちの役割の中で真剣に取り組んでいます。しかしその結果、「そもそもブランドとCXを別々の仕事として扱っていること自体がおかしい」という問いが、見えにくくなっていくのです。
ここで一つ、手放すべき前提があります。
「体制を変えれば、ブランドとCXの分断は解消する」
この前提を持っている限り、打ち手は組織改編に向かいます。しかし体制を変えても、認識が変わらなければ、新しい体制の中に新しい分断が生まれます。逆に言えば、認識は、体制を変える前から変えることができます。







