ベテラン猟師の中原慎一さん
クマ被害対策のため、国が打ち出した「ガバメントハンター」。だが、狩猟免許があるだけで危険なクマ対策を担えるのか。現場には、経験の浅い人材が手負いのクマを生む懸念もある。北海道・西興部村の成功事例から、鳥獣対策専門員に本当に必要な条件を探った。(フリーライター 伊藤博之)
2025年に新設された
鳥獣対策をするポスト
1925(大正14)年1月に北海道紋別郡興部村(現・興部町)から分村する形で開村した西興部村――。100周年を迎えた2025年の4月、西興部村役場に鳥獣・観光担当という新しいポストが誕生した。
そして、その専門員の職に就いたのが、村内にあるエゾジカ猟区の運営支援を担当する地域おこし協力隊員の任期終了を3月末に迎えた渡部志乃さんだったのだ。
折しも村役場では観光団体の設立準備を進めており、そのサポートをしてもらうことがありえたことで、観光担当も兼務する形になった。
でも、メーンの役目は鳥獣対策。菊池博村長は渡部さんを新設のポストに採用した理由を、「任期終了後も本村での活動を強く希望し、有害鳥獣対策の活動を熱心に行なっていたからです」と説明する。
渡部志乃さん
2024年、25年と
クマ出没情報の件数が急増
以前はヒグマの出没情報が地元の交番や村役場に寄せられると、北海道猟友会興部支部西興部部会に所属している中原慎一さんのようなベテラン猟師が村役場の職員と一緒に現場に赴き、必要に応じてヒグマの有害鳥獣捕獲を行なってきた。
しかし、ヒグマは人間の都合に合わせて出没してくれるわけではなく、ベテラン猟師も年を重ねるごとに負担が重くなる。そこで猟区管理協会の事務局長で中堅猟師でもある伊吾田順平さんは、村役場における鳥獣対策の専門員の配置を水面下で以前から要請していたのである。







