2025年度において全国でのクマによる人身被害が238人、そのうち13人が死亡する最悪の事態に陥る最中、11月14日に「クマ被害対策パッケージ」が閣議決定された。それを受けて同月25日に成立した補正予算で、各市町村が捕獲や鳥獣行政に従事する専門員を雇用する際、指定管理鳥獣対策事業交付金からの都道府県を通した間接交付が決まった。

 その結果、26年度からの渡部さんの人件費の負担割合は、常勤でないことが条件で、国50%、北海道25%、西興部村25%になった。それに伴って任期が「26年度から3年間」になった。また、兼務であった観光担当が外された。

 西興部村全体の2025年度において捕獲されたヒグマは28頭を数える。その中には渡部さんや中原さんが捕獲したものも含まれる。そして、26年度に入ってから渡部さんのヒグマの初めての捕獲は、4月初旬に村役場から車で15分ほどの草地で行われた。

ベテラン猟師に
応援を仰ぐことも

「牧場主から通報を受けてから30分ほど後に駆けつけると、2頭の子グマを連れたメスのヒグマがまだいました。そこで捕獲を一人で試みたのですが、最終的に中原さんの応援を仰ぐことになりました」と渡部さんは振り返る。

 中原さんは「度胸があるし、西興部村に来てからの6年間で狩猟の腕前もどんどん上がってきた。ただし、一人前になるにはもう少し経験を積む必要があるんじゃないか」と、家族ぐるみで面倒を見てきた渡部さんにエールを送る。

 ヒグマと対峙(たいじ)するポストだけに、中原さんが少々手厳しくなるのも無理はない。5月中旬に渡部さんは、国道脇の牧草地で発見されたヒグマを捕獲。

西興部渡部志乃さんが2026年5月に捕獲したヒグマ

 このとき中原さんは旅行で村外にいて応援を頼めない状況だったが、渡部さんは冷静に対応して自分の役目を果たした。また6月下旬に渡部さんは、いままで捕獲したなかで最も大きい180kgのヒグマを捕獲している。