ベテラン猟師の銃を
若手猟師に引き継ぐ意味
5月1日、渡部さんは2丁目の銃を手に入れた。同じ支部の猟友会に所属しているベテラン猟師から譲り受けたライフル銃だ。
通常、猟銃の所持許可を取得してから10年経たないと、強力な威力のあるライフル銃の所持は認められない。ただし、渡部さんのように有害鳥獣捕獲で使用する場合、地元自治体の推薦を受けることで、所持が認められる特例措置がある。
西興部村役場で推薦するのは初めてのことで、推薦に当たってのルールづくりに急遽(きゅうきょ)取り組んだ。そのことを取ってみても、渡部さんに対する期待が村役場にあったことが窺(うかが)える。
渡部志乃さん
また、地元の猟友会には狩猟の技能だけでなく、愛用した銃を引き継いでもらうことで、若手の猟師の育成につなげていくよき伝統が連綿として受け継がれているのだ。
造語「ガバメントハンター」への違和感
欧米では「聞いたことがない」
ところで、北海道紋別郡西興部村の渡部志乃さんのような鳥獣対策の専門員の話を聞いていて想起されるのが、先のクマ被害対策パッケージの中で示された「ガバメントハンター」であり、その育成や配置がパッケージに盛り込まれていた。
しかし、狩猟関係者や野生動物管理の研究者の間では、ガバメントハンターという言葉に対する違和感を示す声が相次いで上がっている。
確かに語呂合わせはいいかもしれない。でも、本来のハンターは獲物の資源活用を前提にした趣味で猟を行う猟師のこと。あくまでも個人的な趣味の世界にいるハンターに、行政という異世界のことを意味するガバメントを接合した造語に対して、どうしても矛盾を感じてしまうのだ。
持続的な狩猟の発展や狩猟鳥獣の生態と管理をテーマにした狩猟管理学を専門とする酪農学園大学の伊吾田宏正教授は、「ある冒険小説の中で使われているだけで、欧米の野生動物管理の現場でガバメントハンターという言葉は聞いたことがありません。米国ではワイルドライフ・マネジャーが野生動物の管理を担い、クマ対策の専門公務員としてベア・スペシャリストが存在しています」と言う。
ちなみに伊吾田教授は、前出の伊吾田順平さんの兄で、渡部さんの大学時代の指導教員だった。







