経験の浅いガバメントハンターが
手負いのクマを生む危険
ガバメントハンターは造語だけに定義が曖昧(あいまい)で、政府のクマ被害対策支援メニューで示された指定管理鳥獣対策事業交付金の交付の対象者も、「狩猟免許を所持しているまたは所持する見込みがあるとして、都道府県知事もしくは市町村長が認める者」という規定にとどまる。
単に狩猟免許を所持しているだけでは、捕獲を含めた鳥獣対策は到底担えない。「野生動物管理教育をしっかり受け、狩猟の経験を積んだ人間であるべきでしょう。また捕獲にとどまらず、事前の被害予防措置の取り組みや被害防止計画の立案なども、専門員の役目になってきます」と伊吾田教授は指摘する。
そうした中で気になるのが、地域おこし協力隊のスキームを使ってガバメントハンターを募る動きが市町村の中で出てきていること。
「狩猟免許を持っていても、まだ経験の浅いガバメントハンターが手負いのクマにしてしまい、その後始末に猟友会の猟師が駆り出され、クマの反撃に遭って人身被害を受けたら、いったい誰が責任を取るのか」という懸念の声が上がっている。
任期が3年の地域おこし協力隊で
クマ対策のプロを確保できるのか
そもそも任期が3年以内の隊員に、優秀な人材がどれだけ応募するのかという疑問も投げかけられている。
ここで注目したい先例が福島県猪苗代町の取り組みで、町役場は2010年に鳥獣被害対策専門員として臨時職員を1人採用。翌11年に嘱託員に変え、16年からは正職員に登用した。
そして専門員は、有害鳥獣の捕獲のほかに、町民を集めた被害対策の研修会開催や有害鳥獣のモニタリング調査の実施などの牽引(けんいん)役として関わり、被害低減の実績を上げてきた。成功のポイントの一つは、定期的な異動から外し、専門員として途切れること無く携われるようにしていることである。
それに倣うかのように、北海道標津町は正職員としての自然保護専門員の採用を2026年度から実施。35歳以下で高卒以上の最終学歴を前提にした応募資格に、狩猟免許と猟銃所持許可の保有を明記。
望ましい人物像として、野生鳥獣管理学や環境学の履修、1年以上の狩猟の経験、町民をはじめとする様々な関係者との良好な関係を構築できる能力を持ち合わせていることなどを盛り込んでいる。







