市場規模は4兆円超だが
拡大フェーズは転換期へ
このように、物価高や人手不足など足元の外部環境が厳しさを増す中で、小規模な経営コンサルティング業者の市場退出の動きが相次いでいる。経営破綻に追い込まれた経営コンサルを見ると、行政向け申請書類の作成といった「代行業」に依存していた業者や、中古車・LEDを用いたグレーな“節税スキーム”の指南を生業とする業者など、本質的な付加価値をクライアント企業に提供していない経営コンサルも散見された。
特に、コロナ禍におけるITツール導入に伴う「IT補助金」(現:デジタル化・AI導入補助金)の申請代行は、審査の厳格化や参入増、顧客需要の一巡によりビジネスモデルとして成立しなくなり、受注環境が急速に悪化した。
そもそも小規模な経営コンサルの多くは、1つの案件への依存度が高く、クライアント側の予算見直しやプロジェクト中断による影響を受けやすい。他方で、固定費の中でも最も負担の大きい「コンサルタントの人件費」を削減すれば、付加価値の源泉となる優秀な人材が流出し、結果的にサービス品質の低下と顧客の流出も招くことから、積極的に手をつけづらい。結果として、売り上げ急減や高コスト体質による業績の悪化を招きやすく、資金が底をついた末に事業継続を断念するケースが相次いだ。
国内の経営コンサルティング市場(事業者売上高ベース)は2023年度に4兆円を突破し、足元では従業員数も17万人に達した。しかし、市場全体の伸び率は縮小傾向にあり、これまでの拡大フェーズから明確に転換期を迎えている。
顧客ニーズがリスクマネジメントやM&A、新規事業開拓といった、高度で本質的な「課題解決」へシフトする中で、足元では基礎的なリサーチ・レポート作成や、汎用的な研修コンテンツは生成AIによって急速に代替されている。
現時点では、「生成AIによる業務代替」を直接の要因とする倒産は確認されていない。しかしながら、AI時代における「専門性による差別化」を打ち出せず、申請代行などの労働集約的・制度依存的なビジネスから脱却できない経営コンサルは、今後さらに淘汰の動きが加速する可能性が高い。








