
「いっそこのまま、あんたと逝っちまうのも悪かないけどね」
いずれにしても、山本は、自分が万が一亡くなったとき、テイに後悔をさせたくない一心なのだ。
そんな夫婦を水入らずにさせて、そっと襖(ふすま)をしめるりんの顔は暗い。
りんは病院の規則を破って出てきてしまった。
その頃、直美(上坂樹里)は山本とりんがいないことに気づいて探しまわっていた。報告を受けた黒川(平埜生成)は、副院長の渡辺(森田甘路)に報告しなくてはいけないと言う。事態を知っていて報告を怠れば、黒川の職務怠慢が問われるからだ。
病院のざわつきとは対照的に山本家は穏やか。
テイに膝枕してもらう山本。いい風が吹き、風鈴が鳴る。
ポット型(?)の蚊取り線香が映ったりして、世話物感にあふれたしっとりしたシーン。
大河ドラマ経験もある松本仁志演出、NHK時代劇の基本を知っていると見た。そして、本田大輔と伊勢佳世の芝居も情緒がある。
「2人並んで倒れてちゃあ世話ねえな」
「いっそこのまま、あんたと逝っちまうのも悪かないけどね」
「俺はごめんだな。おまえが生きててくれりゃあ、あの世からおまえ眺めて楽しめる」
いろんな冗談を言う夫にいちいち「冗談じゃない」と返すテイ。
夫と共にこのまま死んでしまいたいと思う妻。
妻だけは生きていてほしいと願う夫。
どちらの愛も間違ってはいない。
手術、告知、共倒れ、どちらかが亡くなった後のこと……考えることは山ほどある。
第14、15週は、見ていてしんどいけれど、その分、自分だったらどうする?とても考えさせられる。
山本が眠ってしまい、テイとりんが語る。
「山本さん、どうしても奥さんに会って、話したかったんだと思います」
「口なんかきけなくてもいいんです。寝てるだけでもいい。ただ。一日でも長く生きててくれりゃ、こっちは」
夫婦共々、相手を思いやる、とてもいい夫婦だ。なのにこんなことに……。
山本は無理がたたって具合が悪くなり、病院に戻ることにする。
テイもついていくと言うが、彼女のからだを案じて断る山本。
「またな」
「また」
お互いまた会おうと別れるが……。







