近畿では「デデムシ」中部・中国では「マイマイ」
関東・四国では「カタツムリ」東北・九州では「ツブリ」
日本の言語地理学において有名な学説として、かの民俗学の祖・柳田國男が唱えた「方言周圏論」が挙げられる(図1-6)。
柳田は、カタツムリを示す言葉が、近畿では「デデムシ」、中部・中国では「マイマイ」、関東・四国では「カタツムリ」、東北・九州では「ツブリ」という具合に、近畿を中心として同心円的に広がっていると指摘した。
同書より転載 拡大画像表示
長らく文化の中心地域であった畿内で生まれた表現が徐々に周辺地域に広がっていく一方で、畿内では新たな表現が生まれる。その結果、古い表現は畿内よりもむしろ周辺地域に残される。まるで水面に落ちた水滴が波紋を広げていくかのように、同心円状の時間―空間構造が生まれる。
カタツムリを事例とした周圏論そのものは、分布が必ずしも同心円的とは言えないこと、周辺地域同士の交流が考慮されていないことなどから、現在では否定的な見解がなされている。
しかし、周圏分布を示す方言は、その後いくつも発見された。関西の名物番組「探偵!ナイトスクープ」の企画からはじまった「アホ・バカ分布」はその1つである。
相手を罵倒する表現として、関西では「アホ」、関東では「バカ」が用いられる。番組の企画としてその境界を調べたところ、東海では「タワケ」が使われることが判明した。番組は盛り上がり、継続調査を行うことになった。







