会社が持っている「奥の手」

「外資系企業を中心に、『辞めるのが今なら月給15カ月分くらい増額だけれど、来月になると月給10カ月くらいになるかもよ』などといった脅し文句もよく出てきます。日本の法制度では解雇権が厳しく制限されているものの、人事異動はかなり自由にできる建て付けです。会社側のオファーを断れば、転勤や望まぬ部署への配属という流れに移ります」

「中小企業の場合は、弁護士に委任するなど法的手続きを進める人は少ないだろうことを見越して、かなり強引な解雇や減給などが実態として広く行われています。ひどいことをしても、マスコミに取り上げられることもなく、せいぜいSNSや口コミサイトで悪評を投稿される程度で終わることは多々あります」

「実務上、いきなり解雇を検討する経営者はさすがに少なく、『基本給は下げられない』『ボーナスはかなり自由に増減できる』『手当の削減はグレーゾーン』ということを念頭に入れつつ、税理士・社会保険労務士・弁護士らのアドバイスを踏まえた『人件費の削減』を何とか実現しているのが良くも悪くも日本の会社の実情です」

 手当については、例えば「5人の部下のいる課長」から「部下なし課長」へと異動したケースなどで、管理職手当が減給される場合があるという。裁判沙汰になることは少なく、半ば強引に会社側から同意を求められているようだ。野澤弁護士が続ける。