激減した夫婦の会話シーン
名演に滲む「リアルな溝」

 しかし回を重ねるごとに、2人の夫婦としての会話シーンは減り、中盤からは誠の連れ子である音花(おとは/月島琉衣)が同居を始め、父と義理の母の間に入る展開となる。

 また、明日香に片思いする同僚の刑事・池田(中村海人)もいる。邪推かもしれないが、本来はもっと夫婦2人の会話が多かったのではないか。見ようによっては、脇を固めるキャストがそれぞれソツのない演技をすることでカバーしているようにも見える。

 主役2人の演技については、見る人それぞれの受け取り方があるだろう。

 個人的には、アドリブが多いと言われる佐藤二朗に対し、橋本愛がそれを受け止める安定感のある芝居をしていたように見えた。

 ラストまでペースを崩すことなく、文春砲がなければ、彼女の演技を見て裏で起こったことを推測するのは難しいのではないか。

 3話目で、車内で張り込みを続ける誠と明日香がお互いにストレスを募らせて気まずくなり、「ひとまず喧嘩している場合じゃないことは確かだと思います、どうぞ(明日香)」「仕事はちゃんとやりますから、どうぞご心配なく、どうぞ(誠)」「ここ数日間会話もなく面倒くさいです、どうぞ(明日香)」「会話をする必要も感じないからです、どうぞ!(誠)」と言い合う場面がある。

 ドラマではここから関係の修復が行われる。現実はドラマのようにいかないものとはいえ、複雑な気持ちでこの場面を見た。

 文春報道によって、作品そのものより出演者を巡る議論が先行してしまったのは残念である。今回の騒動について言及する前に、一度作品そのものに目を向けて役者の演技を実際に見てみてもよいのではないだろうか。ネット上での当事者へのバッシングが一刻も早く収まればと思わずにいられない。