ヨドバシもビックもヤマダも
もはや安売りだけでは勝ち抜けない

 話を「シン家電の街」に戻そう。池袋駅東口エリアには、すでにビックカメラやヤマダデンキが根を下ろしている。ヨドバシの進出には、戦々恐々だろう。

 迎え撃つビックは「池祭」と銘打って、池袋地区限定で最大20%のポイント還元サービスや、3点以上購入で10%のまとめ割、抽選で毎日10万円分ポイント進呈など、実に17もの「お得」を打ち出した。

 ヤマダもポイント還元では負けていない。指定商品ごとに20・18・15・13%のポイントを付与し、チラシやアプリのクーポンでさらなる値引きの誘いをかける。※ビック、ヤマダとも店頭チラシより抜粋。対象期間や使用条件あり

 むろん、安値についても攻め手は緩めない。ビックのチラシには「店頭表示価格・チラシ表示価格・他店提示価格(見積書など)で、他店よりも1円でも高い品はお申し付けください」とある。

 ヤマダは、「同業他社のネット価格を調査し最安値」さらに「クーポンで安い」と猛アピール。2社のターゲットはヨドバシの価格であることは明らかだろう。

 この状況は、消費者にとっては歓迎すべきイベントだ。今年も猛暑・酷暑が予想されるので、夏物家電の買い替えや追加を考えている人は池袋を目指すといい。

 ただ、この華やかな祭りはいつまで続くだろうか。先にも書いたように、家電は日常的に買うものではない。新生活や住み替えの時期や、今まで使っていた家電が壊れたからなど、数年に一度の買い物だ。消費者が安値を求めるのは当然だが、それを目当てに店側は値下げを繰り返すだけでは、ビッグもヤマダもヨドバシも、消耗していくばかりだろう。

 それに、池袋で家電を買う人は東京在住者が多いと思われる。地方からの人口流入が多いとはいえ、そのボリュームゾーンは単身若者層で賃貸住みと想定される。ごく庶民的なファミリー層は今、都内の住宅高騰に辟易して神奈川や千葉、埼玉にマイホームを求めて出ていっている。都市部に家を買い、高額なテレビやエアコン、冷蔵庫などの大型家電をそろえる世帯数には限りがあるのではないか。

 となると、都心部の家電量販店の未来が明るいとは言い難い。家電の品ぞろえはあくまで華やかなショーケースであり、一方でスマホアクセサリー、カプセルトイ、コスメ用品などの日常遣い品をこまめに売って堅実に稼ぐことと、やはり購買力のあるインバウンドを呼び込むことが生き残り策と言えるだろう。