
小川、直美にプロポーズ?
りんは自室で実家に宛てた手紙を書く。
早速生徒たちと話し――親しくなりました、と心配をかけまいと、本当のことは書かない。ネガティブな話をして気が晴れるのは自分だけで、聞かされたほうにはひとつもメリットがないのだから。
手紙を受け取った一ノ瀬家。りんの仕事(舎監)は、生徒たちと寝食を共にして、規律と安全を守ること。その他、裁縫や英語なども教えること。
さっそく返事を書く、と張り切る環(英茉)。シマケン(佐野晶哉)が書き方を指導する。
お母さんは元気じゃなかったらどうしよう、と心配する環にシマケンはお母さん(りん)は「みんなのことを元気にしてるんだよ」「だから、僕も頑張れるんだ」と言う。隙あらば自分軸の話にしてしまうのが『風、薫る』の登場人物たちの特徴だ。
「私はシマケンさんがいたら元気になるよ。だってお手紙書けるもん」とシマケンを褒める環に学んでほしい。
直美は病院で、小川(甲斐翔真)と話している。話題はりんのことだ。「大家さん、ほんとにりんさんのことが好きなんですね」と小川。
2人目のお母さんになった話もする。
「いざ、りんがいなくなってみると、逆にりんがいるというか…。お母さん頑張らないとって」
「は…」
「変ですよね」
「いや、変とは。変わってるなとは思いますけど」
『風、薫る』名物、へんな会話。「いざ、りんがいなくなってみると、逆にりんがいるというか」のあとに「お母さん頑張らないとって」と続くのがとてもわかりづらい。
でもこれは、日常の会話ではあることだ。ドラマのように理路整然と語る人はいない。たいてい、文字に起こすと話が飛んでいるものだ。それをお互いが勘で埋めながら会話をしていく。それこそが日常会話。
小川は、直美ががんばってお母さん代わりをしていることは理解し、でも友人の娘の母親代わりを同居してやっている状況は「変わってる」と感じている。そして彼のなかでは「変」と「変わってる」はニュアンスが違うのだ。ややこしい!
スマートではない会話は続き、「私、結婚も家族も縁がなかったから、嬉しくて。環ちゃん、明るくて賢くて、どことなく品もあって」と直美は素直に話す。「すみません、ベラベラと。小川さん、聞き上手だから」
直美の言う聞き上手とは、否定しないで聞いてくれることなのだろう。
「自分は興味のない話はまるで耳に入りません」と小川。確かにふたりが出会った頃はこんなに従順な人には見えなかった。いまの小川は、直美の話を聞くのが嬉しいと子犬のようなキラキラした目を向けている。
「2人目のお母さんだって、結婚はできますよね?」
いきなりプロポーズ? もともとは佐賀の百姓の三男だと家の話までする。三男だから、家を継がなくてもいいという気楽さをアピールか?
だが直美は小川の話を止める。
避けるのかと思ったら、「ここは職場なので…。前に教えた団子屋なら…」どうやら直美もまんざらではないようだ。小川はますます、キラキラした目になる。まるで主人のことが大好きな飼い犬のようだ。
直美と小川がいい感じになっている頃、りんは――。
新潟に来てはや半年が経過。新たな若く凛々しい男性・横沢(井上祐貴)がりんの目の前に現れた。
第一声は「異議あり、問題あり」
横沢は恋愛パート要員なのか、お仕事パート要員なのか、はたして――。








