スーパーが「惣菜、ベーカリー、カットフルーツ」を入口に集めるワケ、時短ニーズだけではなかった写真はイメージです Photo:PIXTA

食品スーパーの売り場が、大きく変わり始めている。入口正面に総菜やベーカリー、カットフルーツが並び、青果売り場がその奥に配置される店舗も珍しくなくなった。その変化を象徴するキーワードが「即食」である。その背景には、共働き世帯の増加などもあるが、スーパー各社の経営戦略がある。その実態とは?(フードコンサルタント 池田恵里)

食品スーパーの売り場を変えた「即食革命」の正体

 食品スーパー業界で「即食(そくしょく)」という言葉を耳にする機会が急速に増えている。日本惣菜協会の『惣菜白書2026』でも「即食」という新たなカテゴリーで市場データが公表されるなど、業界の視座は「惣菜」という一部門から、「すぐに食べられる食品」という横断的な視点へと変わり始めている。

 即食とは、弁当や総菜だけではなく、カットフルーツや刺身、焼魚、電子レンジで温める商品、サンドイッチなど、「購入してすぐに、あるいは最小限の手間で食卓に出せる食品」の総称である。

 一見するとこの動きは、共働き・単身世帯の増加や、MZ世代(主に1980年代前半〜1990年代半ばに生まれたミレニアル世代と、1990年代半ば〜2010年代前半に生まれたZ世代の総称)を中心とした「タイパ(タイムパフォーマンス)」志向といった、消費者ニーズに応えた売り場改革に見える。

 実際、買い物客の約4割が30分以内で買い物を済ませるというデータ(スーパーマーケット協会、2025年)もあり、タイパを重視する生活者が増えるなか、こうしたニーズに応えることは、食品スーパーにとって重要な経営課題となっている。

 さらに、ネットスーパーやECの急速な普及によって、「時間を節約したい」「好きな時間に効率よく買い物を終えたい」という利便性への期待値はかつてないほど高まっている。

 しかし、それだけでは、いま売り場で起きている大きな変化の本質を説明しきれない。その背景には、店舗経営の根幹を揺るがす「上がり続ける損益分岐点」という、もう1つの切実な経営上の理由が存在するのである。