「即食」にスーパー各社が注目したワケ

 都市部を中心に、地価や建築コスト、数年来上昇を続ける人件費(最低賃金の引き上げなど)が重くのしかかり、店舗経営における固定費は年々増加している。

 この過酷な環境下で企業が持続的に生き残るためには、限られた売り場面積から、これまで以上の売上高と粗利益を生み出す、つまり「坪効率(面積当たりの収益性)」の最大化が最重要課題となる。

 そこで各社が注目をしたのが、圧倒的な収益性と需要の伸びを兼ね備えた「即食ゾーン」だった。

『スーパーマーケット統計調査2025』によると、総菜の売り上げ構成比は2023年の10.6%から2025年には11.4%へ上昇している。つまり、即食ゾーンは需要そのものが拡大している。加えて、部門別平均粗利益率を見ると、総菜は38.7%と主要部門の中で最も高い。

 つまり需要が伸び、収益性にも優れている。だからこそ各社は、「即食ゾーン」を売り場の核に据え始めたのである。

 こうしたことから、各社は従来のような部門ごとの売り場配分を見直し、収益性の高い「即食ゾーン」を売り場の核に据えるようになった。売り場全体の収益性を高めるため、店舗のレイアウトそのものを見直す動きが広がっているのである。

部門別から目的別への転換と、売り場における「再編集」

 この構造変化は、実際の先進的な売り場構成に顕著に表れている。

 首都圏を中心に展開するライフコーポレーションの「ライフムスブ田町店(東京都港区)」では、駅側入口に大規模な即食ゾーンを配置し、その反対側に青果などの素材ゾーンを展開する大胆なレイアウトを敷いている。

 また、サミットが首都圏で出店した「サミットストア パークシティ中野店(東京都中野区)」でも入口正面に総菜とベーカリーを配置し、その中に青果が点在するという、従来のスーパーの常識(青果から始まり水産、畜産、総菜へと続く定番動線)を完全に覆す売り場構成を採用した。