入口付近には総菜やベーカリーだけでなく、ハンバーガーなど「すぐに食べられる商品」が集中的に配置されていることが分かる。売り場全体が、その日の食事を短時間で選べるよう設計されているのである。
実際の売り場を見ると、その考え方がよく分かる。総菜やベーカリーの周囲には、1本売りのきゅうりやミニトマト、使い切りサイズの野菜が並び、必要なものだけを組み合わせて購入できるよう工夫されている。
また、イートインの近くにはデザートやカットフルーツ、コーヒーが配置され、買い物途中に休憩したり、仕事帰りに軽食を楽しんだりと、「その場で食べる」という利用シーンまで提案している。
つまり、「即食」とは、夕食のおかずだけを意味するのではない。買ってすぐに食べる、あるいは店内でくつろぎながら楽しむという、生活シーン全体を提案する場へと進化しているのである。
これらの取り組みは、単に「総菜部門の面積を広げた」という過去の延長線上の話ではない。
総菜やベーカリーという「即食」を主役に据え、その周囲に「個食対応・使い切りサイズ」のサラダ野菜を配置し、精肉売り場では「レンジで温めるだけの味付け肉」、水産売り場では「そのまま食べられるお造りや焼魚」を組み合わせているからだ。
従来の青果・水産・畜産・総菜という売り手都合の「部門別レイアウト」から、買い手側の「今すぐ食べたい」「調理の手間を省きたい」という生活動線に合わせた「目的別レイアウト」へと、売り場を「再編集」している。
バックヤード改革が「即食」を支えている
即食商品の拡大は、一見すると店内での調理や加工が増え、人手不足をさらに深刻にするようにも思える。
しかし実際には、多くのスーパーがプロセスセンターやセントラルキッチン、食品メーカーとの連携を進め、店舗では「盛り付ける」「最終加工する」といった作業を中心とする運営へ移行しつつある。
その結果、バックヤードの効率化が進み、売り場面積を広げることが可能になった。売り場改革の裏側では、こうしたオペレーション改革も同時に進んでいるのである。







