建設費が大幅増でも
B/Cが変わらないカラクリ

 整備委員会の再検証結果は今年5月に報告された。これによると、米原ルートは一部を東海道新幹線に直通させるケースで最大2.7兆円、米原発着の乗り換えケースは最大1.7兆円、工期とB/Cはともに25年と1.0とされた。2016年試算から建設費が3倍になったことでB/Cは大きく低下した。

検証対象となった8ルート一覧検証対象となった8ルート一覧(筆者作成) 拡大画像表示

 また、10年とされた工期も、設計変更や用地買収の検討深度化と労働規制の強化で、米原駅の建設に18年を要すること、小浜・京都ルート以外に変更した場合、閣議決定の変更や、環境アセスをやり直す必要があることから、さらに7年追加され計25年となり、優位がなくなった。

 一方、小浜・京都ルートは、地下水脈や施工面で課題の多い東西案を除外し、南北案と桂川案に対象を絞り込んだ。事業費はさらに膨らみ最大5.5兆~5.8兆円、工期は同じ25~26年、B/Cも1.1をキープ。8ルート中、B/Cをクリアできるのは小浜・京都ルートのみとの結果が示された。

 建設費が大幅に増えたのにB/Cが変わらないのは、本来であればありえないが、そのカラクリは算出方法の変更にあった。整備新幹線ではこれまで、建設区間に発生する費用と便益でB/Cを計算する「個別評価」を採用していたが、開業済みの区間に生じる便益まで含めた「一体評価」を行ったのである。

 個別評価では0.5の小浜・京都ルートは一体評価で1.1になり、個別評価で唯一1.0に達した米原乗り換えルートは一体評価も1.0にとどまった。一体評価の手法は道路整備では既に採用されており、鉄道への導入を検討してきた経緯はあるにせよ、小浜・京都ルート以外を排除する恣意的な変更との批判が出るのは当然だ。

 着工条件については改めて論じたいので、本稿ではこれ以上は立ち入らないが、ともあれ、半年を費やした再検証の結果、米原ルートは工期、B/Cでは小浜・京都ルートを上回る優位性を示せないことが示された。

 7月10日の会合で自民は小浜・京都ルートの南北案と桂川案、維新は桂川案と米原案の2案を持ち寄り、15日に共通する桂川案で決着したというわけだ。