エアライン・鉄道の進路:倉坂昇治・JR 西日本社長インタビューPhoto by Yasutaka Nagayoshi

大阪・関西万博の特需により2026年3月期に過去最高益を達成した西日本旅客鉄道(JR西日本)。しかし今期は、万博の反動やインフレ、中東情勢の緊迫化などを受け、営業利益は前期比17%減の1650億円となる見通しだ。連載『エアライン・鉄道の進路』の本稿では、本業であるモビリティ事業の先行きと運賃値上げの可能性、そしてりそなホールディングスとの資本業務提携の狙いについて、JR西の倉坂昇治社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

JR西、万博特需のはく落で今期は減益
苦境の鉄道事業は5年以内に運賃値上げへ

――2027年3月期の営業利益が前年度を下回るとの予想を発表しました。大阪・関西万博による特需のはく落が一因かと思いますが、改めて理由を教えてください。

 26年3月期は、万博によって営業利益が200億円ほど押し上げられました。今期はその分の特需がなくなりますが、需要の喚起策などにより、運輸収入自体は前年度の水準を維持できると考えています。

 一方で、インフレの進行や人的資本への投資も求められており、コストが大きく増加しています。それに加え、中東情勢の悪化による減益効果が130億円ほどあると見込んでいます。

――中でも、鉄道業などから成るモビリティ業の今年度の予想営業利益(1005億円)は26年3月期(1309億円)から大きく落ち込んでいます。本業の縮小は避けられないのでしょうか。

 モビリティ業の収入はむしろ増える前提で計画を組んでいますが、コストが上昇し続けているため、利益見通しは厳しいものがあります。それでも、同事業の31年3月期の営業利益目標は、今期予想の1005億円よりも高い1125億円に設定しました。これは、今後5年のうちに運賃改定を実施したいと考えているからです。

――鉄道運賃の改定については、25年4月にJR九州が、26年3月にJR東日本が実施しました。なぜJR西は同じタイミングで値上げをしなかったのでしょうか。

他社に遅れて動き出す「運賃値上げ」の裏に隠された、過去最大規模の投資計画と現行制度への強い問題意識とは何か。そして、市場を驚かせたりそなホールディングスとの資本業務提携に踏み切ったが、なぜ今、金融事業への本格進出を決断したのか。次ページでは、JR西日本が描く「鉄道」と「非鉄道」を巡る、新たな成長戦略の全貌について倉坂社長に明かしてもらった。