スポーツに感動を求める立場とは相いれないかもしれないが、対戦を重ねることは、直接観測されないカッコ内の値、すなわち「真の順位」を推測していく行為であるといえる。

 トーナメント方式では、対戦前に「組み合わせ抽選」を行い、チームをトーナメント表に割り振る。もし図1-1の左のようになれば、「真の順位」が1位のチームがトーナメントでも1位、2位のチームは2位、3位のチームは3位となる。ところが、組み合わせ抽選で図1-1右のようになってしまうと、「真の順位」の2位がトーナメントの2位と一致しなくなる。それどころか、「真の順位」が5位のチームが、トーナメントで3位になってしまう。すなわち、組み合わせ抽選の結果によって「真の順位を反映した対戦成績となるか否か」が左右されてしまう。

リーグ戦なら実力順になるという
思い込みの落とし穴

 それに対して、リーグ戦方式の場合はそのような不都合は発生しない。「真の順位」が上位のチームが必ず勝つのであれば、図1-2のような対戦成績が得られ、対戦の結果得られる順位は「真の順位」に対応したものとなる。

図1-2 リーグ戦方式による順位付け同書より転載 拡大画像表示

 実は、トーナメント方式でわかるのは「1位」すなわち「参加チームのなかでどのチームがもっとも強いか」だけであり、「真の順位」の2番目以降が必ずしもトーナメント2位以降と一致しないことが知られている。

 トーナメント方式で有名なのは夏の全国高校野球や多くの高校総体競技であるが、「最も強いチームがどれかを選抜する立場」に限ってみると、正しい結論を導いている。しかし最も強いチーム以外では、必ずしも成績が「真の順位」と一致する結果をもたらすものではない。