ゲームのように人間が主体的に操作するだけではなく、スマホに人間が操作されているような状態になるのです。

 さらにスマホでは、たとえばゲーム中にSNSの通知が入ってきて、ゲームが中断されるなど、1つの操作に集中することが難しくなるという特徴があります。ゲームやテレビ、ビデオでは、比較的長時間コンテンツに集中することができるのとは、大きな違いがあります。

「スイッチング」のクセが
こらえ性のない脳をつくる

 こうした独特のスタイルで視聴を繰り返しているうちに、脳の使い方にクセがついてしまいます。これが、「スイッチング」と呼ばれるものです。

 スイッチングとは「何かに集中しているときに妨害が入り、別のことをやり始めること」を何度もくり返しているうちに、1つのことに集中する時間が極端に短くなる現象を指します。心理学の研究で、パソコン作業とSNSの並行利用が脳や心理に与える悪影響を調べるうちに見えてきた現象でした。

 メールを書こうとパソコンの前に座ったのに、気付いたら動画を見ていた。1つの動画を見ているうちに、すぐに飽きてまた別のものを見始めてしまう。スイッチがあちこちに入り、スイッチングが多くなるほど注意力が散漫になっていきます。

 同じように「パソコンの前に座っている(パソコンを使っている)」状態でも、ずっとレポートを書いている、継続して同じ動画を見ている。

『脳を休める!』書影脳を休める!』(川島隆太、扶桑社)

 このように、スイッチングせずに1つのことを続けている分には、大きな問題は起こりません。一方、スマホはパソコンよりさらに受動的に、大量のコンテンツを消費しやすくなります。その結果、多くの場合、スイッチングが頻繁に起こっているのです。

 そしてスイッチングの回数が増えれば増えるだけ、脳はこらえ性、つまり集中力がなくなっていきます。このこらえ性のなさこそが問題で、これは脳の疲労耐性が極端に低下した状態です。

 スマホを使い込んでいると、情報処理に脳をたくさん使わなくてはいけないだけでなく、脳を脆弱化させすぐにバッテリー切れする状態にしてしまいます。

 今を生きている私たちにとって、脳を休ませてリフレッシュさせるためには、まずスマホ断ちをすることが、最も効率的だと私は考えています。