1ドル=163円台の円相場を示すモニター=7月22日 Photo:JIJI
1ドル164円台が目前に。根本要因は
「有事のドル買い」よりも「円が売られやすい構造」
円相場は7月21日深夜から22日にかけて、1ドル=163円台に下落し、1986年12月以来、約39年7カ月ぶりの円安水準となった。
今回の円安については、21日に閣議決定された「骨太方針2026」に先立って示された原案が、日本銀行の利上げを政府が牽制する内容ではないかと受け止められたことが影響したとの見方がある。政府は、原案を修正し、最終文書では、日銀の独立性に配慮する姿勢を明記し、政府が日銀の政策判断に直接介入するものではないことを示そうとした。
だが、円安は止まらず24日も一時1ドル163円90銭台と、29日も163円台後半から半ばで推移している。
最近の円安加速には、ほかにもアメリカとイランが攻撃や報復を再開した中東情勢の緊迫化による「有事のドル買い」や、FRB(米連邦準備制度理事会)がケビン・ウォーシュ新議長の下で、インフレ抑制重視の政策運営をするとの見方が市場で広がったことなどが、“材料”になっている。
だが注意すべきは、この数年の円安基調、円相場不安定の背景にある、円が売られやすくなっている構造的な要因だ。
「デジタル赤字」に象徴される貿易赤字や海外への投資の増加など、貿易・サービス収支や資本移動を通じた“構造的な円売り”要因といえるものだ。そしてこの背景には、日本経済の潜在成長率低下がある。
円相場の長期的な安定のためには、こうした問題への対応こそが求められているのだ。







