原価マネジメントとは、全員が各業務と原価をリンクさせ、各業務の付加価値(原価の低減・利益の創造)を増大させるマネジメントなのです。社員全員の業務が利益に関与しているため、原価(または利益)を創造する業務に改善する必要があります。そのためには、全社員に対して原価について教育し、原価に対する意識を変えて、現在の仕事を改善する人材に育成することが必要なのです。

 注意しなければならないのは、原価マネジメントは財務会計とは異なることです。

・財務会計…会社の業績を集計する
・原価マネジメント…会社の業績を向上させる活動

 財務会計については会計士や税理士といった国家資格があり、会社では主に経理部門や財務部門が担当します。このように、財務会計は確立されています。ところが、原価マネジメントについてはあまり認知されていません。

 企業の経営トップと経理部門は財務会計(主に集計・分析)の業務だけではなく、原価マネジメント(価値・利益の創出)の業務にも力を入れるべきです。経営トップおよび管理者に原価マネジメントの重要性を認識してもらい、会社の経営に原価マネジメントを役立てもらいたい。また、会社の全員に原価マネジメントを知ってもらい、業績を高める活動を活発に行って会社の業績を向上させてほしい。そうした思いで本書を執筆しました。

 本連載では、事例を交えて、企業における各業務と原価との関係を明確にし、各業務の付加価値を高める方法の一部を紹介します。

原価マネジメントの概要

 原価マネジメントは、経理や決算と根本的に違います。経理とは、企業の経済活動に関わる資金や取引の流れを記録・管理する仕事です。そして決算とは、企業の半期あるいは1年といった期間の財政状態と経営成績をまとめたものです。代表的なものは財務諸表です。要は、経理や決算とは過去の企業の活動をまとめたものになります。

 これに対して原価マネジメントとは、将来の企業の決算を向上させるために、全ての職場の人たちがコスト(利益)面から現在の仕事をどうすべきかを考え、儲(もう)かるように業務を遂行することを指します。企業の決算が高まるように先手で対応します。