企業の人材育成

 原価マネジメント(原価企画、原価計画、原価維持・低減)の活動は全社員の活動です。全社員の能力とモチベーションを高める人材育成が企業経営の鍵となります。トヨタ自動車では「物づくりは、人づくり」であると考えています。本稿では企業の人材育成について解説します。

 まず、企業の人材育成について、筆者は次のような考えを持っています。

(1)企業の業績はその企業の社員の人材の能力で決まります。
(2)人材育成は学校で学んだことだけでは不十分です。また、理論だけでも不十分です。実践できる能力と情熱(Motivation)が必要です。難しいことに挑戦する熱意が大切なのです。人材の総合能力とは知識・スキルなどの能力と情熱(Motivation)によって構成されます。これらを養成することが人材育成です。

 筆者の経験から、1人ひとりの仕事の成果(結果)はこれらと密接に関係しています。次の式でこのことを表しています。

 個人の式
 仕事の結果=人格(Personality)×能力(Ability)×モチベーション(Motivation)
 略して、Output=P×A×M

 仕事の結果とはQCD(品質・コスト・納期/リードタイム)に関するものです。仕事の成果としてKPI(Key Performance Indicator;重要業績評価指標)で表現するケースが少なくありません

 能力(Ability)とは、知識(Knowledge)や技能(Skill)などです。教育や訓練で向上します。

 一方、モチベーション(Motivation)とは、熱意・情熱・挑戦力・前向きな気持ちのことです。一般的な教育では向上しません。良い経験や良い体験を積み重ねて向上します。良い経験・良い体験とは、何かレベルアップする仕事に挑戦して成功体験を得ることです。そのことを周囲の人たちから認められ褒められる経験をすると、モチベーション(Motivation)が向上します。従って、良い経験・体験を積ませる機会をたくさんつくる必要があります。