大きく4つに分かれた
金融機関の対応
メインバンクを含む複数の取引行を失った全東信は、既存取引先との関係強化と新規金融機関の開拓に奔走した。
当時の金融機関の対応は、大きく4つに分類できる。
(1)既存融資を拡大した金融機関
(2)既存融資を縮小、または撤退した金融機関
(3)新たに取引を開始した金融機関
(4)融資要請を受けながら取引を断った金融機関
(1)や(3)を選択した金融機関のなかには、破綻時まで取引を継続した先も少なくなかった。一方、(2)に分類される金融機関のなかには、その後完全撤退した先もある。これは2018年当時100行近い取引先が、倒産時には60行まで減少していたことからもわかる。結果論ではあるが、この時期に各金融機関が全東信の決算内容をどのように評価したかが、その後の大きな分岐点となったと言える。
また、(4)に分類される金融機関も少なくなかった。
100億円規模の新規融資を打診されたある金融機関はこう話す。
「当行の口座をカード会社からの入金口座に指定するなど有利な条件提示もあったが、営業権の評価と預金の実在性を十分に確認できなかったため、取引を見送った」
また別の地域金融機関は、「当行では地元外の地域での金融業者向け融資を認めていないため、全東信はそもそも融資対象外だった」と振り返る。
結果的に、全東信は既存行からの増額融資と新規取引先の開拓によって撤退行の融資額を補填できたため、その後も事業を継続することができた。
8年前から始まっていた
経営のほころび
全東信破綻の背景としては、2015年頃からのスマートフォン決済の普及、2020年以降のコロナ禍による飲食店売り上げの低迷、2024年の営業社員逮捕、近年の金利上昇に伴う資金調達コストの増加などが挙げられることが多い。
これらは確かに破綻要因だったと考えられる。しかし、それ以前から同社が深刻な経営課題を抱えていた可能性は高い。破産申立書には粉飾決算の内容として「実質無価値な営業権の過大計上」との記載がある。これが前述の東信クレジットサービスの営業権であるとすれば、2018年3月期の時点で実質的には大幅な債務超過状態にあった可能性も否定できない。
加盟店の資金繰りを支援する仕組みをいち早く全国へ広げた全東信。しかしその一方で、自社は長年にわたり資金繰り破綻のリスクを内包していた。今回の破綻は、長年にわたる構造的な脆弱性が最終的に表面化した結果だったともいえるだろう。







