約180億円の営業権買収で
資金調達環境が大きく変化

 全東信を取り巻く金融環境が大きく変化したのが2018年3月期だった。

 この時期、グループ再編の一環として、クレジットカード売り上げの請求事務代行やカード処理端末の設置取次代行を担っていた関係会社「東信クレジットサービス」の営業権を全東信が取得した。関係者によると、その取得額は約180億円に上ったという。この営業権買収により、全東信側は東信クレジットサービスの営業権を資産として計上した一方、多額の買収資金は「東信クレジットサービス」に支払われた。

 東信クレジットサービスの売上高は約19億円程度で、ほぼすべてを全東信関連の取引が占めていた。実質的には全東信と一体経営とみられていた企業であり、その営業権に180億円という評価額が付されたことに対し、一部金融機関から疑問の声が上がった。実際、当時のメインバンクを含む複数の金融機関は、この営業権買収後に融資を全額回収し、取引から撤退している。

 金融機関関係者からは「営業権が計上された2018年3月期では約1769億円の総資産に対して、純資産はわずか約13億円だった。しかし、営業権180億円が実質的に無価値と判断すれば、160億円を超える債務超過に転落する可能性がある。そうした企業への融資を維持することは難しかったのではないか」との意見も聞かれた。

 さらに、東信クレジットサービス側に支払われたとされる180億円の行方を金融機関側が十分に把握できなかったことも取引見直しの一因になったようだ。買収の1年後となる2019年3月期の東信クレジットサービスの決算には180億円どころか、5600万円の資産しか計上されておらず、180億円の行き先は不明のままだ。こうして2018年には、メインバンクを含む複数の金融機関が相次いで撤退し、全東信の資金調達環境は大きく変化した。