EVなのにエンジン音が鳴る!
「スーパーワン」の「走りの楽しさ」
その系譜を解説する前に、スーパーワンの「走りの楽しさ」についても見ていこう。同車のドライブモードは「ECON」「CITY」「NORMAL」「SPORT」「BOOST」の5種類が設定されている。
「ECON」は航続距離を最大化する省エネモードだ。「NORMAL」に設定すれば、ナチュラルな走りを楽しめる。
「CITY」はアクセルから足を離した時の減速量が強くなり、アクセルペダルの操作だけで減速から完全停止まで行う「シングルペダルコントロール」が可能になる。
「SPORT」を選ぶと、トランスミッションを搭載しないEVでありながら、エンジン車のスポーツカーのような走りが再現される。アクセルを強く踏み込むと、AT車の「キックダウン」のように、低いギアに切り替わってから加速する感覚を味わえる。
「BOOST」は、ステアリングに設置されたボタンを押すとLEDイルミネーションの色やメーターデザインが変わり、モーター出力が最大化されて“過激な走り”を楽しめる。
「BOOST」モード時のメーターデザイン(出典:ホンダ)拡大画像表示
さらに、ステアリングのパドルシフトを操作すれば、MT車の変速機を操っているような感覚を味わえるほか、アクセルの踏み込み量に応じて車内にエンジンサウンドが流れるなど、ドライバーのワクワク感を高めてくれる。
こうした仕組みの根底にある「コンパクトなのに走ると楽しい」クルマづくりは、スーパーワン登場の遥か前からホンダが得意としてきた分野だった。
例えば、コンパクトな車体にリッター100馬力を発生する高性能VTECエンジンを搭載した「シビックSiR」「CR-X SiR」(1989年)、レーシングカー並みのポテンシャルを備えた「シビックTYPE R」(1997年)などは、多くのクルマファンを魅了してきた。
軽自動車やコンパクトカーをベースに高出力エンジンを搭載し、ボディや足まわりを強化したスポーティなモデル(主にハッチバック車)は「ホットハッチ」と呼ばれる一大ジャンルとして、1980~90年代に多くの若者に支持された。
他のメーカーもこのジャンルに力を入れ、トヨタ自動車の「スターレットターボS」(1986年)、日産自動車の「マーチ スーパーターボ」(1989年)など、多くのホットハッチが市場を盛り上げた。
こうした当時の市場環境の中で、特に異彩を放っていたホットハッチが、ホンダの「シティターボ」(1982年)と「シティターボII」(1983年)である。







