今後の成長は?韓国サムスンやSKには見劣り…

 彼らは、成長期待の高い分野に集中して、ヒト、モノ、カネを配分した。彼らが狙うのは、現状維持ではなく、常に新しい価値を生み出すマインド(アニマル・スピリット)だ。一定の期間で収益を上げることを任務とするベインにも、こうしたマインドは共通するといえる。

 今後もキオクシアは設備投資能力を引き上げ、成長を加速することが求められる。というのも収益性は改善したとはいえ、韓国のサムスン電子やSKハイニックスと比べると、長期的な営業利益率の水準は見劣りするからだ。

 しかも、中国の半導体メーカーは、政府支援もあってコスト競争力に強みを持つ。それには、韓国勢ですら脅威に感じるほどだ。つまりキオクシアは一息ついているうちに、あっという間にライバルに負ける可能性がある。

 そうならないためには、成長し続けるしかない。新しい需要創出に迅速に取り組む必要性は、今後ますます高まるばかりだ。

 有効で機敏な意思決定を下すことこそ、経営者の役割だ。日本企業は、現状維持のマインドから脱却し、世界市場で新しい需要を生み出す考えを、組織全体に浸透させなければならない。

 AIの世紀が本格化したことで、企業の意思決定も、顧客ニーズも、かつてないスピードと規模感で変化している。キオクシアのみならず、全ての企業にとって、管理会計マネジメントの強化が必要だろう。

 失われた30年のマインドを捨て去り、成長期待の高い分野、自社の優位性を発揮できることに集中すべきだ。この能力がある経営者が多数現れるか否かが、わが国経済の今後を左右するといっても過言ではない。

真壁昭夫さんのプロフィール