小菅:背中から腹から足から、あちこちを皆でつつくもんだからこそばゆくて仕方ない(笑)。どのアザラシもですよ。
あの好奇心は、子どものときからずっと持ち続けているものなんじゃないかと思うんです。他の動物を見ていると、ライオンにしても何にしても子どものときは好奇心旺盛でも、大人になるとだんだん失われてきて、あまり冒険しなくなるんです。
食べるものさえ食べていれば、あとは、おそらく興味も感覚もエネルギーもすべて繁殖にかけているのでしょう。好奇心で遊ぶ時間などなくなる。
アザラシの好奇心がわかる
旭山動物園の“仕掛け”
山極:保守的になりますね。
小菅:ただ、アザラシの場合、親も好奇心がすごい。
山極:旭山動物園で、新たにアザラシの展示エリアを建設するとき、チューブ型の水槽をつくって、人間と対面させる仕掛けにしましたよね。あれは小菅さんが考案したんですか?
小菅:僕は、北海道で野生のアザラシを見たことがありましたからね。
彼らは流氷と一緒にやってきて、流氷の上で休む。流氷の上でおしっこもするから、黄色くなっている流氷を探せば居場所がわかります。それを見ていると、餌を取りに行くときは、流氷の隙間からポチョンと海に入り、海中で重なり合っている氷の隙間を通って海底まで潜る。
アザラシはいくら泳ぎが上手だと言っても、スピードを出して中層域を泳ぐような魚は捕れないので、海底にいる動きの遅いカレイなどの底生魚やイカ、カニを食べて、息が耐えられなくなると水面に浮上するんです。
山極:それを旭山動物園で再現した。
小菅:そうです。新設の「あざらし館」に設置した円柱水槽は直径1.5メートルもあります。流氷の隙間に比べたら十分大きい。だから、チューブのような狭いところに入るのは絶対大丈夫だし、必ず入ってくると思いました。
山極:でも、アザラシは円柱には絶対入ってこないって、最初は反対があったそうじゃないですか。それでも信じられたのは、プールで泳いだ体験があったからですか。







