虫眼鏡で地面を観察する子どもたち写真はイメージです Photo:PIXTA

人間が本来持つ「問いを生み出す力」を取り戻すために必要なものは何か。霊長類学者と獣医師が、現代の子どもたちの遊び方に警鐘を鳴らす。※本稿は、霊長類学者・人類学者の山極寿一、獣医師の小菅正夫『動物はふしぎ』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

忙しすぎて「なぜ?」と
考えなくなった子どもたち

山極:今の子どもたちを見ていて思うんだけど、みんな忙しすぎますよね。しかも探索活動が与えられてない。人間の子どもというのは、まず口でいろんなものをなめ回しながら世界を探索し、それから視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感をすべて使って、どういう世界かを確かめる。このとき一番大事なのは、自然と触れ合うことなんです。

 自然というのは、五感のすべてを吸引してくれる仕掛けであって、人間と同様、毎日変わる。ところが、今の子どもが置かれているのは人工物としか付き合えない環境です。

 布団や壁や椅子や机は、決まった位置に決まったようにあるだけ。探索したところで何も変化しないから面白くない。探索というのは本来、新しいことにいろいろ気づいていくものなのです。

小菅:子どもたちに必要なのは、山極さんがおっしゃった「変化」に気づいたときに、なぜそうなっているのかと自分でいろいろと想像して考える環境だと思います。それが、最終的に自分の身になる。