大和ミュージアムに展示されている戦艦大和の模型 Photo:PIXTA
2025年公開の映画『雪風 YUKIKAZE』では、竹野内豊演じる沈着冷静な艦長が、乗員から信頼される人物として描かれた。『男たちの大和/YAMATO』『永遠の0』など、日本海軍を扱った映画では、軍人たちが知的で勇敢な存在として映ることが多い。なぜ日本海軍には、陸軍とは異なる「カッコいい」イメージが定着したのか。※本稿は、現代史研究家の保阪正康、日本海軍史研究家の戸高一成(高ははしごだか)、現代史家の大木 毅『虚構の昭和史 海軍善玉論、石原莞爾名将論の陥穽』(角川新書)の一部を抜粋・編集したものです。
「海軍は善玉、陸軍は悪玉」
が戦後の常識になった
大木毅(以下、大木):昭和が終わるころまでは、「海軍は善玉、陸軍は悪玉」という先入観が、世間一般も含めて、暗黙の了解になっていたと思います。そうした傾向になったのは、海軍側のOBたちがそのイメージをつくるよう努力してきたのに対し、陸軍側のOBが後れを取ったということがありましょう。
この「海軍善玉論」「陸軍悪玉論」も批判されるようになってきましたが、まだ、かなり表面的なところに留まっていると思います。
そもそも論ですが、これらに対する批判が、最初に文章で出てきたときには、違った意味合いがありました。その嚆矢となったのは、半藤一利(編集部注/戦史研究家)さんが『諸君!』の昭和61(1986)年1月号に書いた「海軍善玉論 常識のウソ」、同じく土門周平(編集部注/1920年~2017年。騎兵第29連隊、戦車第28連隊中隊長等の部隊勤務を経て、終戦時は陸軍大尉。戦後は陸上自衛隊への勤務などを経て、軍事史研究家となる)さんの「陸軍悪玉論 常識のウソ」の両論文だった。







