優しいようで実は「冷酷」
部下が抱える4つの不安

 優秀なリーダーは、「直近で一番困っていることは何?」と尋ねます。ここには、いくつもの工夫が詰まっています。

 接し方の違いは突き詰めれば受動か能動かにあります。「何でも言ってね」は、相手からのアクションをひたすら待つ言葉です。相談内容も、重要度も、切り出すタイミングも、判断のすべてを部下に委ねています。

 問題が起きれば、言わなかった部下が悪いと責任を部下に押し付けるための免罪符にもなりかねません。後になって「何でも言えと言っただろう」と責めることができます。優しいようで、実は冷酷な言葉なのです。

 一方、「直近で一番困っていることは何?」は、上司の側から情報を取ろうとする言葉です。この方向性の違いだけで、部下が受け取る意味は大きく変わってきます。

 部下が相談できなくなる背景には、心理的安全性を損なう4つの不安があります。

1. こんなことも知らないのかと無知だと思われる不安
2. できないやつだと無能だと思われる不安
3. 忙しいのに邪魔をしていると思われる不安
4. 愚痴や弱音ばかりのネガティブな人間だと思われる不安

 とりわけ経験の浅い部下ほど、この4つの不安の前で立ちすくみやすいものです。

一流上司の「魔法の言葉」
対話ハードルを下げる技術

「一番困っていることは何?」はなぜ有効なのか。「困っていることはある?」の場合、「はい」か「いいえ」で答えなくてはなりません。真面目な人ほど上司を煩わせるほどの問題はないと考え、「特にありません」と答えるでしょう。質問のようでいて、そこで会話が閉じてしまうのです。

 ところが、一番困っていることを聞かれれば、自分の中で順位をつけ、自分の基準で答えてよいことになります。客観的には重大な問題ではないかもしれないが、強いて言えば今はこれが一番しんどい、という悩みを口にしやすくなるのです。