待つだけの上司は三流
部下の本音を迎えに行く

 私自身の面談では、逆説的なようですが「最近どう?」とまずは間口を広くして問いかけます。これ自体は、はいかいいえに終わる「よくない質問」です。しかし、話したいことを用意していて、堰を切ったように語り出す人もいるので、あえてこの問いから始めています。

 部下に話したいことがなければ、「直近で一番困っていることは?」と具体化し、それでも答えにくければ、「しんどさは10点満点で何点」と数字にします。この順番で進めれば、必ず対話ができます。

 振り返れば、私自身も、優れたメンターやコーチからこのように問われることで、話を聞いてもらってきました。あまりに自然なので、当時はそれが技術であると意識しなかったほどです。裏を返せば、よい問いかけとは、受け手にテクニックだと気取られないものなのでしょう。

 そして、このように問えるかどうかは生まれ持った才能とは関係なく、学べるスキルです。心理学やコーチングの分野では体系的に教えられていますが、一般のマネージャーが面談の技術として学ぶ機会はそう多くありません。だからこそ、知っているだけで差がつきます。

 この積み重ねが本当に有効なのは、問題が起きたときです。日頃から部下の小さな困りごとを拾えていれば、後になって、「なぜ早く言わなかったのか」と部下を責めなくてもすむでしょう。

 優秀なリーダーは、部下の相談する能力に依存しません。相談できる状態を上司の側で設計し、問題がまだ小さいうちに芽を摘んでおく。相談の扉を開けて待つのではなく、部下が開けた扉からさえ入ってこられない理由に想像をめぐらせ、こちらから迎えに行くこと。それが、本当の優しさなのだと思います。

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